プロローグ 郵便を

今日の依頼者は…あぁ、彼処あそこに居るのか。

その人は、屋上で座っていた。

「そんな所で何をされて居るのですか。お嬢さん。」

驚いた様子で、ゆっくりと振り返るその人は、多分、同い年ぐらいの女の人だった。

彼女の目は腫れていた。しかしとても透き通った瞳をしていた。そして、その瞳には、営業スマイルの自分が写っていた。

「驚かせて、申し訳ございません。突然ですが、貴女は送れないお気持ちをお持ちでいますね?」

「え、あ、はい。…もしかして…貴方、流星の…!」

「郵便です。伝えたい人は誰ですか?」

「あの子に…伝えたいんです。」

「少しお話をお伺いしても?」

彼女の友達が突然居なくなってしまった。

何も思いを伝えられなかった。

だから、せめて。

-ありがとうって-

「分かりました。では、ちょっと、お手をお借りしても?」

「?はい。」

そっと彼女の手に俺の手を乗っける。

「もう一度お訊きしたいです。貴女の思い。届けますか?」

「はい…っ!」

彼女の目から涙が溢れ出す。

スゥ…

そんな音と共に手紙が目の前に現れる。

俺は心の中で強く願う。

届け。

最後に、おまじないを。

「その言葉聞き届けました。」

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