誰かの何か

巫 廉

プロローグ 郵便

-この世界は伝えられない言葉で溢れているんだ-

誰かが、そんな言葉を言った。

俺の名前は龍星りゅうせい

俺は部屋で、ノートに記録を纏まとめていた。

いつもいつも、仕事ゆうびんはつまらないと思っていた。

俺の家系は特別な力を持っている。

それは、届かない。言えない。そんな思いを手紙にして、届ける力。

届けるためにはその人への強い思いと、何故届けたいのか。そんな思いも必要だった。

仕事というのは、送りたいと思っている人のもとに行って、手紙にして届ける。それだけだ。俺達はそれを仕事ゆうびんと呼んでいた。

まぁ、一応学校には行っているから、しっかりとした仕事とは、言えないのだが。

仕事上、謙譲語と敬語は必須である。

同級生にも、そう話しかけそうになって、変な目で見られてしまうのが問題だが。

あぁ、今日も居るようだ。

「送りたい。けど届かない人。」

心に響いてくる悲しみの声。

そのために俺は今日も空を舞う。

今回の依頼者は-

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