第25話 綺羅


小さな頃に、どうしても欲しかったが手が届かず諦めた物事はあるだろうか。


お風呂に入っている時にふとこの話題が頭に浮かんだので、文としてはかなり短いだろうが書き留めておく。


大まかに書くと私の世代は直ぐに分かる。卵型のゲームに様々なキャラクターシール、糸で編んだアクセサリー。他にプラスチックで出来ているだろう宝石の嵌め込まれた指輪など。全てがキラキラして見えたものだ。幼い頃はまずほとんど外に1人で遊びには行けず、お小遣い制度もほぼ無かった為、欲しいものを手に入れるのには苦労した記憶がある。


大人になったある時、子供の頃に欲しかったものをいざ買おうと掌に乗せてみたがその全てがすっぽりと手に包めてしまうことに驚いた。子供の時に夢見ていた宝物たちは、ただただ小さい。もしもうっかり落としたらわからなくなってしまいそうで怖くなったのだ。


その場では買うのを諦め、まずは部屋を片付けてからだなと私は自分を納得させたのだった。

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独白 ハリト @Noho_wing

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