第3話 外出

私が1人で外を歩くことは少ない。



昔からそうだ。必ず隣に家族の誰かが居て、私を見守っている。ひとりだから、一人だから。唯一だから。



しかし、私は1人で歩くことが好きだ。誰もいない、見知った顔がない場所。



誰も私を知らないところ。



[だって、枷なんてとっぱらいたいじゃないか。]

独り言を吐いて足元の石ころを蹴飛ばす。からん、と乾いた音を立てて石は道上を転がっていく。





誰も私を知らない世界にもし歩いていけたら、そこでもし私を愛しいと思える人に出会えるのなら、きっと幸せなのかな?




[さぁな、私にはわからない。今の生活から踏み出して抜け出したとて、先が明るいとは思わない。何の意味がある?そこに何の目的が?]




でも、きっと至極幸せだ。


と誰かの声が頭の中に響いた。

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