第3話いざ探索っ!!と思いきや、、、

「ちょっとどういうことっ!!!」


俺たちに追いついて開口一番に兵藤が大きな声を張り上げていった。



「何がだ?」


「すっとぼけられるわけないじゃない!なんで今日も見にきてたのよ!」



後ろで松本がうんうんと頷いてるのも見える。松本は俺たちが昨日もいたことを気づいていたようだ。悪いことをしてしまったな。


「なんでって言われてもな…」



「二人で相談していこうって決めたんだよ!昨日楽しかったからな!」



「お、おい!別に言わなくても、、、」



「へぇ。そうなんだ。楽しいって思ってくれてたんだ。それならよかった。。。あ、でも、今度から来てくれるときは、ちゃんと教えてよね!!!」



「「お、わかった。」」



兵藤は満足した顔で1つ頷くと、じゃあ帰ろっか。と俺たちと一緒に帰ろうと促してきた。



「ほら何してんの?一緒に帰ろ?」



「あ、あぁ。そうだな。」




俺たちは言われるがままに兵藤と松本と一緒に帰ることになった。帰る間はライブの感想や、探索合宿の話で持ちきりだったので話題に困ることはなかった。ちなみに、ライブのことで褒めると兵藤も松本も照れるので可愛かったのは内緒だ。


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ライブを終えた次の日からも普通に学校はある。とはいえ、俺たちには探索合宿が明日からあるので、今日は集会をしたら終わりだ。部活動紹介?そんなもの俺たちにはなんの縁もないものだから、知らないね。



「健吾君!!!」



「なんだよ。俺は忙しいんだよ。」




「うそでしょ!!!あのね、今日の放課後の部活動紹介行くよね?もちろん中村君と優月も一緒に!」



「へ?全く行くつもりないんだが、、、」



「中村君!今日の放課後の部活動紹介一緒に行かない???」



「おう!いいぞー!」



「ちょ、だから勇太に頼むのはせこいって。。。」



「てことでよろしくね〜!じゃ、また後でね。」



そういって兵藤は手をフリフリしながら自分の席に戻っていった。




「相変わらず嵐のような奴だなぁ。。。」




「ごめんね。一ノ宮君。留奈っていつもあんなんだから。嫌だったらいつでも断ってくれていいからね。」



松本がちょっと申し訳なさそうに俺の方を見ている。



「まぁ、あいつのおかげで退屈せずに過ごせているから、嫌なんてことはまだないぞ。」



「ほんと!?よかったぁ〜。私も楽しみにしてるから、今日の放課後お願いねん。」




「あぁ。まぁ善処はする。」



そういって松本が自分の席に戻るのを見て、俺はあいつらのグループのことを思い出していたら、チャイムと同時に担任が入ってきたので、思考を中断して、担任とともに集会所へ移動した。



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「えぇ〜以上で明日からの探索合宿での諸注意を終わります。遅刻のないように気をつけてください。」



集会スペースが拍手に包まれる。俺は軽くつむっていた目を開けて、少し伸びをした。なんでこんなにもイベント前の諸注意って長いことが多いんだろうな。確実にいらないこと話してるだろ。



集会も終わり明日の探索合宿委員会のメンバーが誘導をして、次々と退場していく。あ、こーゆうところも生徒がやるのね。自主性だねぇ〜。



教室に戻るともうすでに大半のメンバーも戻ってきており、みんな明日からのお泊まりが楽しみなようで、結構な盛り上がりをそれぞれのグループで見せていた。



「はい。みなさん少しだけ、終礼しますので、とりあえず適当な席についてください。」



盛り上がっていたクラスも担任の一言で静まり返る。みんなこの後の部活紹介か、帰宅が楽しみなようだ。もちろん俺は早く帰りたいに一票だ。



「明日の連絡事項としては、8時15分教室集合で、、、、」



担任が最終確認と言わんばかりに連絡事項をつらつらと述べていく。みんな聞いているようで頭に入ってなくて一人は遅刻するんだよなぁ、これ。



「とまぁ、こんなもんですかね。明日は一応遊びではないので!ルールの範囲で楽しむことを考えましょう。遊びではないのでお菓子大量に持ってこようとか考えている人はやめてくださいね、没収の上、各担任が食べきることになってますので、私が肥大化してしまいますので。」



「はーい!!!」



「ではみなさんまた明日、部活動紹介行く人は掃除ののちに、4階体育館に集合です!では、さようなら〜」



「さようなら!」



よし、やっとこさ終礼が終わったようだ。ここから俺のやることは1つ。さっさと荷物をまとめて、教室から出ることだ、これだけで今日の俺の任務は終了だ。



「けんごくん、、、?どこにいこうとしてるのかな?」



「いやちょっと、部活動紹介に、、、」



「うそでしょ!部活動紹介行くなら荷物持っていく必要ないもん!ほら、いくから待ってなさい!!!」




「な、なぜバレたんだ。俺の計画は完璧だったはずなのに。。。」



兵藤に呼び止められてしまったので仕方ない。不本意だがこいつらについていくしかないようだ。間違っても行きたいわけではない。俺は諦めをつけるのが早いだけなんだ勘違いするなよ。。


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兵藤に見つかったので渋々体育館へついてきた俺は現在、4人横並びで、先輩方が行なっているパフォーマンスを見ていた。ネタで来る人たち、真面目にパフォーマンスする人たちと様々ではあるが、俺は入るつもりが全くないので、全然興味が湧かなかった。ふと隣を見てみると、勇太も同じ気持ちのようだ。



だが、彼女たちは違った。彼女たちも部活に入るつもりはない。というか入れる余裕は全くないはずなのに、真剣な眼差しで見ている。そんなに目を引くものがあるか?と俺は思うんだが、、、



「優月、ちょっとフリに面白み入れた方がお客さんも楽しんでくれるんじゃない?」



「確かに。真面目すぎるのもいいけど、ちょっと一息つかせるような場面があってももっと見やすく、楽しくなるかもしれないね。ちょっと考えてみるね。」



まさかこいつら、、、ただのネタ会みたいな今日の場面からも自分たちに活かせる何かはないかと貪欲に探し求めてるのか?そうだとしたら、、、恐ろしいグループになるぞ。。。



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「ふぃ〜つかれたぁ!!!」



部活動紹介も終わり、教室に向かっていると兵藤がふいにそんな声を漏らした。



「部活動紹介で人が来るわけないのにあそこまで準備してるのってすげーよな。部活動見学の方がよっぽど人が来ると思うんだが。」



「もう!一ノ宮くんはほんとに現実的だよね。あんなのは余興だよ!新入生歓迎の一種なの!」



「そんなもんなのかねぇ〜。」



「そんなことよりもさ、この後どっか行かない?私たちも久しぶりにオフだし!明日の買い物もちょっとしたいしさ。」



「いいな(ね)!」



「え、俺帰る気満々だったんだが。」



「健吾君に拒否権なんてあるわけないでしょ!ほら、ちょっとだけだから付き合ってよ!」



「はぁ。しゃーねぇなぁ。少しだけだし俺はついていくだけだからな。」




どこいくどこいくと松本と嬉しそうにはしゃぐ兵藤を見てるとなんとなく、こういう青春の仕方もありなのではと思うようになる。



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ということで俺たちは現在河原町でウィンドウショッピング中だ。俺と勇太

は全くわからないし興味もないんだが、女の子二人はあーだこうだ言いながら、楽しそうに服やアクセサリーを見ている。


「ねぇ!これ絶対健吾君に似合うと思うんだけど着てきてよ!」


「え、俺はついていくだけって言ったんだが、、」



「ほら早く早く!」



兵藤に促されるまま、試着室で俺は着替えてみた。お、これ我ながらいけるじゃないかと思いながら仕切りを開く。



「おい、どうだ???」


兵藤から返事がないな。やめてくれよ似合ってないなら似合ってないって言ってくれよ恥ずかしいじゃねぇか。。


「兵藤?どうだ?答えてくれないと恥ずかしいんだが、、、」



「あ!え!ご、ごめんね!うん!似合ってるよ!だから早く着替えてきていいよ!」


「そんなに似合ってなかったのかよ。まぁ着替え直すわ。」


兵藤に似合ってないことを暗に言われちょっと傷ついたがささっと着替え直す。もう絶対こいつのいうことは聞かねぇと心に決めながら。。



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あーーーーーーーーなんでこんなに似合ってるのよ!いや、確かに似合うと思って渡したけどさ!普段の面倒臭そうな印象とがらっと変わってこう、なんていうかめちゃくちゃ優しそうなイケメンに見えちゃったじゃないのもう!健吾君のバカ!


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そそくさと着替えを終わらした俺は若干の悲しみを心に背負いながら、再び二人のウィンドウショッピングに付き添った。これ、どう見ても子供の付き添いをする親にしか見えないだろ。。。



「ねぇ。お腹空かない?」


この一声で俺たちはファミレスに来ている。ウィンドウショッピングで結局何にも買わなかった俺たちだ。俺には理解できないが、ウィンドウショッピングとはそういうもののようだ。買わないショッピングって、、時間の無駄に思えてしまうぜ。


「とりあえず、なにか頼も!」



ベルを鳴らし、呼ばれてきた店員さんに注文を順番に告げる。こういう時に、その人の性格が現れるとよくいうが、やっぱりこいつらはめちゃくちゃ丁寧だった。



そんなことを考えていると、勇太が突然、二人に向かって「そういえば、部活動紹介見に行った理由ってさ、何かステージに活かせるものがあるかもって思ったからだったのか?」


と尋ねていた。俺は気になったからその会話に耳を傾けていると、二人ともよく見てるねと言いながら、簡単に頷いてみせた。隠すと思っていたんだがな。



「私たちってさ、まだ固定のファンも付いているわけでもないひよっこだし、ダンスも歌もトークもまだまだだからさ、」



「今はなんでもステージを見るって経験が必要かなって思ってるの。」



こいつら、やっぱすげーな。普通あんなお遊びステージからも得られるものがあるなんて思わないだろう。やっぱり向上心っていうのかな、この二人からはそれを感じるよな。



「そういえばね、私たちのグループ、『LINK』っていう、ライブ配信アプリを始めることになったんだぁ。」


「知ってる。」



「え!?なんで知ってるの!??もしかしてストーカー???」



「んなわけねぇだろ。ほら、お前らの公式に載ってただろ。」



そういって、「iris」の公式ページを見せる。オタクとして、木になるグループの情報を調べるなんて当たり前のことだ。



「ふぇっ!?健吾君見たの!?私たちのページ///あの写真そんな盛れてないから、恥ずかしいのに、、、」



そりゃ、見ないと昨日もライブがあることなんてわからなかっただろうよ。ま、初めて見つけてきたのは俺じゃなく、勇太なんだけどな。



なんかさっきから、兵藤がむくれているがこの際突っ込むと面倒臭そうだ、ここは無視するに限るな。



「まぁそれいいとしてさ、LINKって投げ銭アプリだよな。やっぱり、それの人気とかでセンター決まったりとかも考えてるのかな。」



「どうかな。私たちにはあんまり聞かされてないけど、そういうのもありそうだよね。」



兵藤がむくれているので松本が代わりに答えてくれる。ほんと兵藤と違ってしっかりしているよなぁ松本は。



「そっか、で、とりあえず俺たちも見にいくのはいいのか?」



「まぁ、恥ずかしいけどね。大丈夫だけど、学校とかでの話は無しで。ってお願いしたいんだよね。」




「あー、そういうことか!そんなの、俺も健吾もわかってるよ!学校バレとかもあるもんね。」



さすが勇太だ、理解が早いな。



「俺たちはまぁ深く関わりすぎない程度に覗かせてもらうようにするよ。知ってる人が見てると少しは安心もするだろうしな。」



「うん!ありがとうね。」



松本がキラキラした笑顔で俺たちを見ていた。やっぱり心細かったんだな。



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俺たちはいろんな話をして、結構良い時間になったので店を出て解散する雰囲気になっていた。


「今日は楽しかった!結局何も買わなかったけど。」



「おう。俺たちも楽しかったよ、また明日だな。」



「明日からの探索合宿楽しもうね!」



こんな感じで俺たちはそれぞれの帰路に着いた。俺はなんだかんだ今日の1日が楽しかったことを言葉には出さないが、心には留めておこうと決めて、勇太と話をしながら家に帰った。



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俺は今世界最大級に焦っている。探索合宿の集合時間は8時15分だ。だが現在時刻は8時10分だ。完全に遅刻コースだ。とりあえず、学校に連絡をと思い電話をかけると、担任が出た。



「森田先生、入学早々に申し訳ないのですが、遅刻をしてしまいました。なので、今日はもうバスが出発していると思いますのでお休みさせていただきたいのですが。」



「そうですか、ちょうど先ほど連絡がもう一人ありましてね。せっかくですので、タクシーの方を呼んでいます。そちらの方で遅れても良いので学校に向かい、そのタクシーに乗り込んでこちらの方に向かってください。」




「タクシーですか、、分かりました。今すぐ向かわせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」



「はい。気をつけてきてくださいね。」




このような会話ののち、俺は急いで学校に向かった。幸いバスが出発してまだ30分ぐらいだそうで、うまくいけば、途中のSAで合流できるそうだ。

そのように運転手さんから話を聞いて、タクシーに乗り込むと先に乗り込んでたであろう、生徒の姿が見えた。



「お寝坊さん。遅刻しちゃったんだね!!!」




「いや、お前も遅刻したんだろが。兵藤。。。」




そこいたのは長い髪を1つに束ねた、割とラフな格好の兵藤だった。オシャレだが、TPOに合った服選びをしている。




「ま、もうこの際二人だけの探索合宿、先にはじめちゃいましょ!!!」




「どこまでも呑気な奴だなぁ。」



俺はまだ知らなかった。このバスの中て、驚きの話が兵藤の口から聞かされることになることを。。。








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俺、高校生活失敗したら、変なことになりました。 白タオルSHIRO @ukenken

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