第2章 俺、教えを説く
第6話 次のお仕事と補佐役の任命
意識改革を行う為にはある程度材料も必要だ。
それに準備も必要。
次は教本や伝道書の改定に手をつけよう。
意識改革の為にはその辺も重要だからな。
そんな訳で大司教方に指示してそれらの本を集めてもらう。
予想以上に大量にあった。
これはある程度絞ってやらないと過労死するかうつ病になるかだ。
この世界でも前世のミスを犯す訳にはいかない。
「ソーフィア大司教、実際に信徒の教学に使っているのはどの本ですか」
「少々お待ちください。より分けさせて頂きます」
ソーフィア大司教は教団の事務方面を担当する大司教だ。
ただ教学関係も実際は彼女が手配している。
本来教学はアセルムス首座大司教の担当なのだけれど、
『あの方は実務にはあまり向いていらっしゃいませんから』
という事らしい。
この人、見た目は無表情な能面女なのだが有能かつ割と親切だ。
ただ表情が表に出にくいだけらしい。
「この辺が初心者や子供用、この辺が一般信徒用、この辺が専従者用です。なお農業や一般知識等に関するものは除いて、あくまで宗教関係のの教本で使用頻度が多いものだけをより分けてあります」
この辺の処理も流石だ。
「それで使徒レン様は教学の改定を試みるおつもりでしょうか」
「ええ。今のままではより多くの人を救えませんから」
贅沢をする為ではない。
あくまで人々の救済の為なのだ。
その辺のお題目は守らなければならない。
「例えば
これらに対して
「生命の輝き、ですか」
「そうです」
俺は頷く。
「
例えばそういう世界へ導く為、ソーフィア大司教はどのような事をすればいいと思われるでしょうか」
「私は手助けを必要とされる方々に出来得る限り手を差し伸べていくだけです」
「救済者として大司教の仰る事は正しい。でもそれだけでは救えない人々もいると思います。例えば衣食住に不自由しなくても心が飢えている人々。そういった存在も救わなければなりません。それが
「仰る事は言葉として理解は出来ます。でもその方法論や具体的な形は私には想像することが出来ません」
「だからまず、教団内部から変えていこうと思います。その第一歩がこれらの教本の改定です。無論私の一存で全てをかえる訳ではありません。変えた部分は必ず大司教をはじめとする聖職者に確認してもらいます。
他にも食やその他様々なものを教えに即して変化させていくつもりです。でもまずは教団の基本となるこれらの教学、そこから変えていかなければならないでしょう」
ソーフィア大司教は頷く。
「使徒レン様の仰る事は理解いたしました。でしたら補佐をつけさせていただきましょう。教学担当課で現在図書館長のイザベル司教補です。教学をはじめ知識量はこの教団でも五本の指に入るとの呼び声が高い才女です。やや癖はありますが、使徒様の仰る仕事の補佐には適役かと思われます」
おい、怖いおばちゃんじゃないよな。
癖があるとも言っているし。
俺はちょっと警戒してしまう。
実は俺には女性に対する恐怖心がちょっとだけある。
前世の妻がまあ酷い女だったせいでトラウマになっていたりする訳で。
実際うつ病の原因の半分は奴のせいだと今では思っている。
勿論今は
「少々お待ちください。今呼んでまいります」
大神官自らそう言って席を立ってしまった。
まあこの教団はお偉い様でも自分で動くのだが、おかげで断ることも出来ない。
それに女性はいやだ男性がいいなんて言えないしな。
だから俺は覚悟を決めて待ち続ける。
実際それほど待つ事も無かった。
「失礼します」
そう言って大司教に続いて入ってきたのは……あれ?
一見ちびっ子というか、一見でなくともちびっ子というか……
「教学担当司教捕のイザベルです。これでも18歳です。よろしくお願い致します」
年齢まで自己紹介しているあたり、自分が年齢相応に見えない事を承知しているのだろう。
確かにこれは18歳には見えない。
前世世界なら小学生AVに合法として出てくる事が可能な位だ。
勿論今の俺は使徒だからそんな想像はしないけれど。
単に例えで使っただけだ。
本当だ。
「図書室に近い場所に作業部屋も用意しましょう。それではイザベル司教捕、使徒レン様の御力になれるよう期待していますよ」
「畏まりました。使徒レン様、これからよろしくお願いいたします」
今の処癖があるという部分は見えない。
強いて言えば年齢相応に見えないだけだ。
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