第10話 会議と調査

「そんでそんで、恵ちゃんはどうして先に来たの?」

家の机を5人が囲って座っている中、その1人であるあずきが最初に口を開く。

「あらやだ、ちょっと冷たくない?翔夢偉〜反抗期なのかな〜」

「いや、俺に降らないでくださいよ。普通に答えれば良いじゃないですか」

この人は冗談を言わないと死ぬのだろうか。

「一つは調査して本当に出現しそうなのかをWMOに報告すること」

そうだろうな。一気に来てもらってもこちら側の準備ができないからな。

「もう一つはミナヅキちゃんを愛でにきたかな?」

ビクッと隣で動くミナヅキ。基本人見知りと言うのもあるが

「その顔で言うからあまり獣人に好かれないんですよ」

「私は大好き超ウェルカムなんだけどな〜」

大好きなのはわかるが、その顔は子供には見せられない様な顔してるからね。

「となるとこの地図は調査の為の資料ですか」

健也がパソコンを見せながら入ってくる。

「そうそう、流石健也仕事が早いね〜」

そこには時刻、どこの隊か発見したか、何級だったかなど、かなり細かく載っていた。

「てか、こんな情報どこから持ってくるんだよ」

「それは、まあ、ちょちょいとね」

ああ、なんか察した。これやったな。確実にやってる、なんか色々情報早いなとは普段から思ってたけど、確実にハックしてるな。

「時間が惜しい、今から現地に行くから翔夢偉とあずき、それとミナヅキも付いてきて欲しい」

「待ってください、あずきとミナヅキもですか?調査等の事はまだ慣れて無いと思うんですが?」

こんな大事な任務に初心者を連れっていって大丈夫なのかと言う不安をぶつける。

「あずきは護衛だ。何かに襲われたら数が多い方が良いからね、ミナヅキは...行けばわかる」


 研究所で示した円の比較的中心の方にある森林に着いた俺達。妙な質問が師匠から出る。

「何か感じるものはないか?ミナヅキ」

俺とあずきは首を傾げた。よくわからない質問にミナヅキも慌てふためく。

「ここはハズレか。次いくぞー」

その様子を見た師匠が淡々と言う。って次?

「調査は?」

「ここには何も無いさ」

と言って運転席に乗り込んだ。理解が追いつかずボーッとしててた3人に師匠が「置いてくぞー」と言って急いで乗り込む。


「なんなのさ恵ちゃん!」

不満を露わにするあずき。まあ、そうなるよな俺まそう思うもん。

「なんなのさと言われてもこればっかりは説明しょうがないんだよな〜百聞は一見に如かずってね」

なんだそれ。抗議の声をもっとあげようかと思った時ミナヅキが袖を引っ張っていたのに気づいた。

「ごめん、なんだい?」

「なんか、違和感...。何かが入ってきていっぱい動けそうな感覚がします」

「それは強くなっているのかい?」

そこに師匠が割り込む。

「はい...あっ今ちょっと弱まりました」

そう言うと師匠は路肩に車を止めた。

「ここを調査するよ!皆準備して」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る