第6話 初仕事と経験値
ミナズキが訓練を始めてから半年が過ぎた。おっさんは教え方が上手くこの半年でミナズキとあずきを実戦で十分戦える状態にしてくれた。
「翔夢偉様、今日はどのような仕事なのですか?」「私に合うような大仕事でしょ」
今はミナズキとあずきの初仕事に行くために車で移動中。もちろん運転は翔夢偉だ。
「今日はC級モンスターが大量発生して村々を荒らし回っているそうだ。今回これを掃討及び捕獲する。できるだけ麻酔弾を使えよ。効かなそうだったら実弾も許可する」
麻酔弾はうちと協力してくれてる研究所特製のもので大体のモンスターに効く。構造は知らん。
「なんか翔夢偉喋り方変わった?」
「うるせぇ、ほとんど1人だったから団体は慣れてねぇんだばーか」
「なっ、この人馬鹿って言った!ね、この人馬鹿って言った!」
「翔夢偉様、流石にちょっと言いすぎだと思います」
「あれ?これ二対一で俺が悪くなってる?」
そう言って笑い合う。ミナズキもかなり馴染んできたこれは毎日のようにあずきと遊んでいたからなのだろう。それに関してはあずきに感謝だな。
そんなこんなで今日の現場についた。都会からはかなり外れた農村地帯だ。
「こういう所何気に好きなんだよなぁ」
目撃情報を聞くため依頼主である神社の神主さんを訪ねていた。
「どこがそんなにいいんだか」
「この静けさとか森のなかにドンと構える出立とか、この突き出した唐破風屋根なんて最高だね」
「はぁ」
あずきはよくわからないと言わんばかりの表情で眺めている。ミナズキは思ったより興味津々にいろんなところを見つめている。
「あなた方が今回来てくれた立花自衛業の方々ですか?」
奥からかなり老いた老人が出てくる。
「何もいないな」
目撃情報があった森林につき、辺りを見渡す。目に写るのは草木ばかり、聞こえてくるのは葉の擦れる音、ただし物が動いたようなザザッとした音では無くさらさらと鳴る音、それと虫や鳥の鳴き声であろう音だけだ。
「翔夢偉様、これは、」
「そうだな」
だが何も収穫がなかったわけでもない。そこら中には何か生き物が通ったであろう跡が残されていた。
「となると足跡の方向から考えて、こっちに行った可能性が高いから...まずいな」
「どしたの?ってやばいじゃん急がなきゃ!」
その方向はそこそこな規模の駅がある方向だ。
「実弾を装填しておけ」
走りながら伝える。麻酔弾は効果はあるが時間がかかる場合がある。周りに人がいる場所では早く止める実弾の方が安全であるからだ。そのことは習ったからなのか二人は何も言わずに従ってくれた。
まもなく住宅街の方から叫び声が聞こえてくる。急ぐ足はさらに動こうとし、頭も熱くなる。
「着いたらお前たちは避難誘導を優先しろ」
「なんで」
あずきが聞く。
「経験が無いからだ」
ここはきっぱり無いと言う。これだけは出せない大事な理由がある。
「訓練をいっぱいやったから大「お前は人を殺したいのか!」えっ?」
少し強く言ってしまいあずきは立ち止まる。が今の状況が理解しているのだろう、すぐに追いついてきた。
「モンスターと人が入り乱れた状況で経験のない奴に発砲許可を出すわけにはいかない。守るための攻撃は許可する」
「わかった」
あずきも納得したようで静かに追いかけてくる。
「さぁ 街に出るぞ」
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