第4話 訓練場と試験

「ただいま〜 からのミナヅキちゃんにダーイブ!」

あずきが帰るや否やミナヅキに抱きつく。仲良くなるの早いなおい。

「昨日の夜二人で遊んでいたそうで、お陰で朝あずきを起こすのに苦労したよ」

「すまないな健也。一人でさえ大変なのに勝手に増やしちゃって」

「いえ、ミナヅキちゃんは寝起きが良いみたいで、自分が行った時には起きていたので、大丈夫だったですよ」

「あのー、二人とも?さりげなく私の事disってる?」

「さて、訓練行くか」

「無視するなー!」

暴れるあずきを抑えた後、支度を始める。

「何を持っていけばいい?」

そう問うのはミナヅキだ。何気にそういうところは律儀なんだな。

「初めてだからな、別に何も持って行かなくても大丈夫だよ」


「おっさん居るか?」

ここはほとんどの人が見つけられないちょっと隠れた場所にある訓練場だ。

「おう 今日も来たか。っとなんか増えてやがるな?ってことはこの新人を鍛えてくれってことか?」

「さすがおっさん。話が早くて助かる」

「だがちと幼すぎないか?あずきも高校になってから訓練は始めた訳だし...」

「大丈夫だ、よく見てみろ。この子は獣人だ。知識はともかく、運動能力はかなり高いよ」

「なるほど、なら会員登録してさっさと訓練しようか」

そう言って書類を出してきた。それを書き終えたら動きやすい服をくれた。

「ミナヅキ。あっちで着替えてこい」

「わかった」

更衣室に向かって駆けていくミナヅキの姿を見送った。


 全員が訓練場に集まってから、ここの店主である月見里やまなし とおるが仕切り始める。

「そんじゃ、あずきちゃんはレンジで動く的に当てる練習をしといてくれ、ミナヅキちゃんはこっちで実際に打ってみてくれ」

この訓練のやり方は異様であるであろう。来たばかりの人に銃を渡すのはかなり危険なことであろうことは誰もがわかる。おっさん曰く、どの訓練をするかは人それぞれでそれを見るのにはやっぱり実際やってみてくれなきゃわからん、だそうだ。いわゆる適正試験だ。


 「あずきは腕を上げたな」

前来たのは一ヶ月前だが明らかに成長した。50mの的に二発に一発当たるかどうかの確率が今や百発百中ど真ん中。この成長はかなり早いと言えるだろう。これなら高二になる前にアルバイトとして雇えるだろう。

...あ、駄目だ。動く的にまったく当たってない。これじゃ当分実戦は無理だな。

「あんちゃん、こりゃ良い人材だぜ」

そう言われてミナヅキの方をみる。綺麗な姿勢かつ、あまりブレずに打っている。的にはまだ当たっていないが、確実に的に向けて近づけている。

「ミナヅキ、お前銃を打ったことがあるのか?」

「昼間にけんやさんがおしえてくれた」

「それだけか?」

「それだけ」

これが獣人の能力か?いやそれ以外に当てはまる理由が見つからない。嘘をついているという可能性はあるがそれだけは信じたくないし、そこまで考える奴ならこんな綺麗な射撃はしないだろう。


「よーし適正試験本番だ。決められたルートを辿りながら中にある的を全て打て。的を打たないで通過したらその数×10sだ。あずきちゃん、手本を見せてやれ」

「了解でーす」

そう言ってスタートの位置につくき銃を持ち準備完了の合図を出す。

「整ったようだな、それでは Ready GO!GO!GO!」

声と共に走り出した。


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