第21話vsメンベル ①

 結局、琴桐グループとメンベルの決闘は行われることに決まった。

 そしてそれは、コミュニティを通して瞬く間に世界へと広がった。


 今回の決闘代理は、各界の上流階級から注目を集める程度には好カードだった。



 一人は三鷹圭。


 ここ数ヶ月で彗星の如く現れた期待の新人。ランク4の実力がありながら10億でも靡かない変人。

 見た者は少ないが、かなりの近接戦闘能力と尋常ではない多彩な魔術を組み合わせた格闘魔術を使うことで、今日本で話題になっている。

 ランク4は瓦田を倒したというだけであり、実力はランク5もあり得るのではないかと注目されている。絶賛される噂の魔術は一見の価値があるだろう。


 対する相手はダビデ・ラクシェル。


 由緒正しき魔術師のラクシェルの家系で、圧倒的な魔力を有している。持つ魔力を使い炎の魔術を自在に操り、武器である剣には魔力を流し炎をエンチャントすることも可能。

 メンベルに護衛として雇われていたわけではないが、雇い主に借りたのだろうと噂されている。当然コミュニティでのランクは5。6に近いとまで言われているほどの実力者だ。



 下馬評では、ラクシェルに分があると言われている。三鷹圭の情報は日本中を走り回っており、その魔術の多彩さと同時に、魔力がラクシェルと比べるとかなり少ないとも噂されているからだ。

 魔力量という圧倒的暴力の前では三鷹圭の小手先の戦闘も消し炭になる。そう言われていた。


 ただ、三鷹圭に賭けている人もいる。彼らの多くは自分の目で三鷹圭の魔術を見た人たちであり、例の爆炎の魔術が目に焼き付いている。ダビデ・ラクシェルを見たことがない彼らは圭が負けることは想像できなかった。






「ふぅ」


 琴桐家の道場で圭は鉄棒を置く。

 その前には、身体のあちこちを打ちつけられ内出血だらけになった米田がいた。


「しかし、三鷹の棒術は恐ろしいな。こうまで変わるか」

「至近距離だと不利ですけどね。向こうは剣を持つとのことなので、それに合わせてという感じです。今治しますね」

「だが、相手は剣だ。しかも強化されるらしい。下手すると腕や足が飛ぶかも知れん」

「はは……その恐怖はこの前体験しました」


 ハザマを倒したことは米田にも楓にも言ってはいない。変に漏れても困るからだ。ただ、しばらく楓が狙われることはないだろうと伝えただけだ。

 楓は何やら怪しげな視線を送ってきたが、彼女も圭の実力を完全に把握しているわけではない。


 ただ、今回のダビデ・ラクシェルとの決闘は、ハザマとの死闘並になると圭は考えていた。

 ハザマの『炎の死神バーン・リッパー』は圭もとっておきの魔術のうちの一つ、『三詠唱』を使わされた。もしラクシェルが同程度の強さの魔術を使ってきた場合は非常に厳しい戦いとなる。


 ただ、ハザマほど熟達したスキル使いはケインの世界でもごくわずかだ。ただでさえ強力な能力を現代科学で上乗せした強さと比較すると、炎の魔術師はいくらか対策しやすかった。


「頼むよ、三鷹くん。これには琴桐家の命運がかかってるんだ」

「ベストは尽くしますよ」


 特に何を思うこともなく圭はそう答えると、琴桐亮太郎もそうかと言ってその場を去った。


「ケイ、勝てるの?」

「さあ、分かりません」

「負けるのは許さないから」

「そんなこと言われても」

「でも、死ぬのはもっと許さないから」

「……。分かってますって」


 決闘は利権などを賭けた戦いとはいえ、代理人は命を張って臨む。事実、決闘によって死んだ人も少なくはなく、特に今回のような即死技の応酬であれば死亡率は跳ね上がる。


 ただ、圭には死ぬつもりはなかった。まだ、やることがある。なぜかそう考えてしまい、同時に噂のラクシェルにも負ける気はしなかった。


「んじゃ、行きましょう」







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 今回の決闘は東京で行われる。大注目のこの決闘は見に来るものも多い。神城学園の生徒や能対課もいるし、海外からわざわざ来日してきた人もいる。

 ほとんどは滅多に決闘に顔を出さないランク5の一人である、ダビデ・ラクシェルを見るため。そして生で見て賭けを楽しむため。



「よし」


 圭はグローブをはめ、鉄棒を握る。ここ一、二週間ほどいろいろ勉強したりして対策は練ったし、こっちの世界では触れていなかった棒術の感覚も取り戻した。これ以上ない万全な対策だ。

 そう思い返して気合を入れて、決闘場に入った。




 決闘場は、直径20mほどの円の形をした舞台だった。場外はなく、周りは高いコンクリートの壁で覆われている。

 そして驚くべきは観客の数。百や二百どころではない。その十倍はいるだろう。円の周りを囲うように設置された観客席は半分以上埋まっていた。事前に聞いたところによると最大収容人数は五千人とのこと。

 それだけ注目が集まっているのだ。


 今回は壁に用意されたボックスは存在せず、代わりに代表者グループが座れるように観客席の最前列に指定席が用意されていた。


「やあ、君がミタカかい?」

「ん、そうだけど。あなたがラクシェル?」

「そうさ」


 意外にも流暢な日本語で話しかけられた圭は、観客席から目の前の男に目を移す。

 体格は圭より大きい。百八十半ばほどだろう。身体もそれに合わせて鍛えてある。米田や瓦田のような肥大化した筋肉ではなく、スマートで無駄のないつき方だ。

 顔は欧州の人らしく彫りの深い顔で、パーマがかかっている金に近い茶髪は由緒正しき貴族を連想させた。


「知ってると思うけど、ダビデ・ラクシェル。代々伝わる魔術師の家系、ラクシェル家の長男だ」

「炎の魔術と剣のエンチャントが得意と聞きました」

「さすがだね。僕も君のことは調べたよ、三鷹圭。優れた魔術師らしいね」

「それはどうも」

「いい勝負になることを期待してるよ」


 ラクシェルが手を出したのを見て、圭もそれに合わせる。二人の握手が終わってから、サイドにいたレフェリーがやってきた。


「準備はいいですか?」


 クイッとメガネを上げたレフェリーに二人が同時に頷く。


「それでは、始め!」






 まず動いたのはラクシェル。素早い動作で剣を抜き、圭に向かって横になぐ。それを圭は棒で防ぎつつも後ろへ飛ぶ。剣を引いたのを見て棒を軽く見ると、斬られた部分は半分以上食い込んでいるのが分かった。


「やり辛いな」


 指を当てて棒を修復する。そしてもう一度振られた剣を、今度は横に弾くようにして逸らす。同時に棒の逆側が、ラクシェルの側頭部を撃つ。


「っ」


 察知したラクシェルは咄嗟にしゃがんで避け、圭に向けて魔法陣を構築する。


「『我が炎よ敵を燃やせ』」


 素早く詠唱された魔術は怒涛の勢いで圭に襲いかかる。それを察知した圭は上に飛び、魔法陣を展開させた。


「『灼炎』『焦がせ』」


 一気に身体の大きさまで広がった魔法陣は、ほとんど時間をおかずに爆炎を放出する。それを見てラクシェルは咄嗟に防御の構えを作った。


「『我が炎よ我を守れ』!」


 前に放出されたはずの炎がふわりと曲がり、二人の間に集結する。

 二つの炎の魔術が衝突した。


「うぉっ!」「くっ、」


 二つの魔術はお互いに干渉し暴発した。その煽りを受けて二人の体が吹っ飛ぶ。ただ、上から攻撃した圭に比べて下にいたラクシェルは大きなダメージを負っていた。


「やるね。ならこれはどうかな?」


 剣を構え、ピタリと止まる。その構えは圭を警戒させ動きを止まらせた。

 しかし、それは悪手だった。


「『炎の突きファイヤ・スタブ』」


 人三人分離れていた距離で、ラクシェルは突きを放つ。圭は突きが繰り出されてからの僅かな時間で、身体を逸らした。


「っつぅ……」


 突きから飛び出た炎は圧倒的速度で宙を走り、圭の肩を擦りコンクリートの壁に激突する。後ろを見ると、液状になったコンクリートが赤く光るのが確認できた。


「なんつー威力だ」

「まだまだ行くよ」


 連続で繰り出される突きは走り回る圭を執拗に追い回す。あまりに早い炎は、コンクリートの壁を次々と溶かしていく。それをある程度見切り、今度は圭が攻撃に出た。


 鉄棒の端を掌に添え、炎の突きを飛んで回避すると同時に狙いをつけて、ビリヤードのように鉄棒を前に押し出した。


「『キュー』」

「ぐぉっ……」


 僅かな動作で放たれた突きは、圭の魔力を使い不可視の弾丸を生み出した。

 炎の突き並みに速い一撃は、不可視なのも相まってラクシェルの胸に突き刺さる。


「なんだ今のは」

「『キュー』」


 もう一度放った弾丸が今度は右足を襲う。

 その動作を見て、ラクシェルは何をしたかすぐに理解した。


「空気砲か」

「正解。『キュー』」


 三度目の弾丸は、鉄棒が向く方向を読むことによって回避。先ほどまでの炎の突きを中断し、今度はラクシェルが逃げる番だった。


「『キュー』『ガトリング』」

「『炎よ渦巻き壁となれ』」


 素早い動作で押し出される弾丸は、ラクシェルの周りを取り囲むように乱雑に放たれるが、ラクシェルが新たに生み出した炎の渦によってその威力を大きく削られる。


「『不可視の跳弾バウンチ』」

「ゔっ、なに!?」


 僅かに空いた渦の下を撃つことで、弾丸を跳ねさせラクシェルに当てる。

 どこに当たったのかは圭には分からないが、直撃したラクシェルには何をしたか察されたらしく、炎の渦は石の板まで完全に閉ざされた。


「『炎よ我が剣に宿れ』」

「チッ」


 様子を見ていたところに、自分で作った炎渦を剣で切り裂いて圭に躍りかかった。それを鉄棒でガードするが、あっさり真っ二つに焼き切られた。


「マジかよ!」

「逃さないよ」


 高熱を帯びた剣はラクシェルによって美しい軌道を描き、圭を追う。

 圭はといえば、後ろに飛び去りながらも二つに斬られた鉄を合わせ、熱で溶かして氷で冷やす。これだけで元どおりだ。


「『氷よ』」


 ラクシェルの軌道上に氷を置き一瞬だけ温度と速度を下げると、敢えて鉄棒をその先に置いて僅かな時間剣を拘束し、切っ先をずらすように棒を大きく回した。

 その間にもう片方の手はラクシェルの腹部に当てられる。


「『雷よ』『迸れ』」



 轟音が響き、ラクシェルは一歩後ずさる。バチバチと鳴る音が聞こえる人にだけ、その威力を思い知らせる。

 だが一歩下がっただけ。

 すぐに意識を覚醒させたラクシェルは大声で叫んだ。




「いでよ、『炎王の騎士カイザー・ナイト』!!!」

「うぉあっ!」




 突如として大きな炎が舞い上がり、それを機敏に察知した圭はすぐさま距離を取る。そして近づけないまましばらく待つと、そこには炎が象った、大きな騎士がいた。


炎の死神バーン・リッパーみたいなやつか。厄介な」

「くくく……これを纏ったからには、君の負けさ」

「気が早いやつだ」


 ついこの前戦ったハザマの最後の大技を思い出す。これに対抗する術はあまりない。あまりに高い温度のせいで、冷やす魔術は焼け石に水だからだ。


 観客席も強烈な熱さを感じているらしく、後方に逃げる者もいた。


「観客にも迷惑な魔術だな」

「結界の魔術師が調整してくれる。気にする必要はないさ」


 ラクシェルの身体が歪んで見える。ハザマの時のように周りを取り込み増強することはないが、この狭い決闘場では狭すぎて逃げ場がない。


「それ」

「くそっ!」


 騎士から振り落とされた剣が石畳を赤熱させる。その威力はハザマと比べても遜色ない。飛び退いた圭は二詠唱の魔法陣を展開させた。


「『水よ』『流せ』!」


 魔法陣から現れた濁流はまっすぐ騎士の剣へと当たると、あっさりと蒸発して消え去った。炎の剣も一度は消えたが、すぐさま新しく生えてくる。


「ダメか!」

「無駄だよ。その程度じゃ僕の騎士は消えたりはしない。ほら」


 ラクシェルが手を動かすと、それに合わせて炎の剣は再び圭を襲う。それを反射的に避けるが、少し近くに落ちただけで圭の肌をジリジリと焦がしていく。

 炎の騎士は圭を逃さずに追い詰める。それは素人の動きではなく、確実に人を追い詰めるためのものだ。


「くそ、使うか?いや、他にも方法があるはず……」



 圭が思いつく最初の打ち手は、ハザマを倒した大地の魔術。しかしあれは力押しな上に魔力をゴリゴリ削られる。圭としては、もっとスマートで魔力を使わない方法で攻撃をしたかった。


「何か奥の手があるのかい?どちらにしろ炎王の騎士は破れないけどね」

「ほざけ」


 襲う剣を大水球で威力を弱めて回避し、近づかせないように円卓を回る。だが、圭の移動に対しラクシェルは身体を向けるだけで狙いを定められる。それをうんざり見上げながら、圭は一つ方法を思いついた。


「やってみるか」


 持っていた鉄棒を、先の構えとは別の状態で構える。どちらかというと、槍で突きを放つ構えに近い。それを見て何かを感じたのか、ラクシェルは炎の剣を絶え間なく振り下ろす。


「なにをやる気か知らないけど、無駄だよ」

「やってみなきゃ分かんないだろ。『水よ』」


 炎の剣を大水球で受けながら躱して跳躍。空中での滞在時間に、圭は棒を突き出した。


「『穿て』!」


 棒先の魔法陣から出た水は先ほどの濁流と比べても多くは見えない。

 ただ、速かった。


 バシュッと水が蒸発する音が一瞬するが、それでも圭は身体を止めてラクシェルを見る。

 放たれた水は亜音速、その勢いは火が熱を伝える前にウォーターカッターとしての役割を果たし、ラクシェルの肩を切り裂いていた。



「……」



 揺らめく炎の騎士は動きを止め、ラクシェルは斬られた肩に手を当てて血のついた掌を見る。


「なるほど、面白い。だが……『炎王の騎士よ』!」


 ラクシェルが騎士に声をかけると、騎士は揺らめき装備を変える。剣はそのままに、左手には盾を構えていた。


「これで今の攻撃は防げる」

「くそ、対策が早すぎるだろ!」


 位置を変えてもう一度水の刃を飛ばすが、分厚い炎の盾に塞がれてラクシェルには届きもしない。

 炎の盾を少しだけ上げたラクシェルは、勝ちを確信した笑みを見せた。


「『炎王の騎士よ』!!」

「はぁっ!?」


 ラクシェルが両手をあげると、炎の騎士の形が変わっていく。ここまで自在に炎を操れるとはと圭ですら驚いていた。


「手が四本とか、捌き切れるのか!?」


 さらに生えた二つの手は両方とも剣を持っており、それぞれが独立して圭に斬りかかる。超高熱の剣は当たったら一発で即死だ。降参を狙っているのか、ただ殺しに来てるのかは分からないが、炎の剣がそばに落ちるにもかかわらず、圭の背筋はゾクゾクと冷やされていた。


 一本目を飛んで躱し、狙いすましたように振り落とされた二本目を大水球と氷結を使って威力を押し殺す。図ったかのように振り下ろされた三番目は、躱し切れなかった圭の右足を焼いた。


「『治れ』」


 魔術によって瞬く間に足を治すと、再び振り落とされた一本目を一時的に鉄の傘で防いで避ける。

 あっという間に溶けた鉄棒はドロリと形を変えて圭の手に残った。


「棒はもうちょっと有効だと思ったんだがなぁ」


 溶けた棒を投げ捨てる。

 鉄の融点はおよそ千五百度。剣の炎はそれを超える温度を有しているらしい。身体強化をしているから黒焦げで済むが、この場にいるだけで熱さで死にそうだ。

 ひたすら避け続ける圭を追う炎の剣は、石の地面を全て赤熱化させていた。

 おそらく気温もバカみたいに高い。百度は優に超えている。これだと水も出した瞬間に蒸発だ。


「チッ、めんどくせえ。もっと抑えて勝ちたかったんだが……とっておきを使ってやるよ」


 圭が床に着地すると、そこだけ赤色が消えて元の石に戻る。そして上に向かって炎の魔術を放った。


「『灼熱』『焦がせ』」


 噴き上がった爆炎は天井にあたり屋根を溶かす。以前使っていたものより威力は遥かに高く設定した。


「なにをするつもりだい?」

「なあに。とっておきを披露しようと思ってね」

「させると思う?」

「残念、避けながらでも使えるんだ」


 炎の剣を避けて、圭は言葉を詠む。


「『空よ』」


 左手に魔法陣が展開する。それを起動させながら二本目の剣を避けた。


「『集まれ』」


 一気に膨らんだ魔法陣は、圭の手によって空へと掲げられた。


「『凝縮』!」


 魔術が起動し、赤く光り宙に消える。

 そしてひとときの沈黙が訪れた。


「どうした、三鷹くん。魔術は失敗かい?」

「何言ってんだ、魔力を半分以上使ったんだ。何か起きてもらわなくちゃ困る。そろそろくるはずさ」


 何を、と聞く前にラクシェルは上を見た。

 空は晴れ渡るのに、なぜか一点だけ雲がある。しかも、それは明らかに嵐を呼び起こす雷雲だった。


「雨?」

「そんなとこだ」

「ふ、ふふ……」

「何がおかしい」

「ふはははは!何がおかしいって、これがどうして笑わずにいられる!たかが雨、たかが雨だ!雨程度でこの騎士は消せない!」


 振り落とされる炎の剣は、圭を襲う。なんとか魔術を使って回避するが、動きのキレが明らかに鈍っていた。

 空では降り始めた雨が下まで落ちる前に熱気にやられて蒸発する。水一滴、落ちてくる気配はなかった。


「なに、今に分かる」


 圭は足を止め、もう一度魔術を行使する。


「『風よ』『重ねろ』『渦巻け』」


 その直後、風が竜巻のように暴れ出し、熱気を伴って空へと上がっていく。雨と熱気によって生み出された霧も、同時に空へと上がっていった。


「雨の次は風か?それだけか!見ろ、炎の騎士は決して消えない!」


 嘲笑するかのように攻撃の手を強めるが、鈍くなってもギリギリで圭は致命傷を逃れる。


「ふぅっ、ふぅっ……」

「治癒魔術まで使いこなすとは大した魔術師だよ君は。だけど、それも今日までだ」


 止めと言わんばかりに、三本の剣がまとまり、一つの大きな剣となる。その大きさは次元が違う。決闘場のほぼ全域を射程範囲に入れていた。


「死ね」

「『集まれ』!」


 雷が、落ちた。


 圭が受けた雷は空気中を暴れるように進み、ラクシェルへと放たれる。その速度は名の通り雷。

 炎の剣が振り下ろされる前に、ラクシェルの身体を貫いた。

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