第9話 あの日の続きを
どうしよう。昼休みになっちゃった。
竜太郎に頑張ると言ったもののどうやって話しして言いかわからないよ。
前は私の事覚えてないだろうから勢いで話しできてたけど。。。。
「麗香」
「え?」
私を呼ぶ声に顔を上げるとそこには小山内君が。
「にゃ にゃんでここにおしゃないくんが」
明らかに挙動がおかしい返事をしてしまった。
落ち着け私。
「待ってても来なさそうだったから来ちゃったよ。ちょっと時間良いかな」
「う うん」
と立ち上がって小山内君の後をついていく。
何処に行くんだろう?
珍しい組み合わせにクラスメイトも私たちを見ている。
何だか妙に恥ずかしい。
到着したのは別館にある図書館の準備室だった。
「僕、図書委員長やってるから鍵預かってるんだよ」
「そ そうなんだね」
何この二人だけの空間。静かだし凄く緊張する・・・
多分私は緊張して少し涙目になってたかと思う。
「ごめん。変に緊張させちゃったかな。あの"麗香ちゃん" でいいんだよね?」
彼はあの頃の呼び名で呼んでくれた。
「う うん。源君・・・・」
私もあの頃の呼び方で呼ぶ。何だか恥ずかしい。
「あの時、告白の返事聞けなかったよね。だから、あらためて言いたいんだ。
"僕は君の事が好きだ。付き合ってほしい!"」
「え?」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
まさか、あらためて告白されるとは・・・・
何だか涙が込み上げてくる。
「で でも今の私は、みんなに残念とか毒舌とか言われてる様な女だし、相変わらずの口下手だし、源君とお付き合いなんて・・・・」
とネガティブな私に源君は、優しく語りかけてきた。
「今の麗香ちゃんでいいんだよ。昨日竜太郎君が言ってた。姉貴は色々と無理してるって。僕もそう思う。
周りの目とか期待とか気にせず、麗香ちゃんももっと我儘にしていいと思うよ。僕は全て受け入れるし味方する」
「・・・・・」
「麗香 ちゃん?」
しばしの沈黙。いつの間にか私は泣いていた。
彼の言うとおりだ。私は無意識に自分を偽りながら周りに認められようとしていたのかもしれない。
「あたし、人付き合い下手だし色々と面倒だけどいいの?」
「あぁ。そいうところも含めて僕は麗香ちゃんが好きなんだ」
まっすぐに私の目を見つめて、照れてしまう様なことを言う源君。
『こういうセリフ言えちゃう男の子だったっけ』
と思いながらも私の答えは決まっていた。
「あ あたしみたいなので良ければ彼女にしてください」
---------------------------
あれから1か月。
昼休みに突然押しかけてきたギャルは僕の彼女になった。
今では昼休みに限らず僕のところに遊びに来るし放課後も一緒に帰ることが多くなった。
本当、高校生活の中で僕に彼女が出来るとは思いもしなかった。
お昼も堀内は少し遠慮してくれているが、彼女が気にしないので3人で食べている。麗香も無理にギャルを演じるのをやめてから少しずつ変わってきていた。
恩田さんとも少しづつだけど話しが出来るようになったみたいだし、髪の色も茶髪から黒髪に戻し昔の麗香ちゃんに戻ってきていた。
また、地味男な僕と派手めな残念美少女の意外な組み合わせも最初は注目されたけどそこは皆受験生。最近は静かなものだ。
まぁ受験生ではあるけれど、残りの高校生活は恋人同士として--ちょっと古臭い言い方だけど--青春を謳歌するつもりだ。
そして、最近は彼女と将来を話し合い同じ大学を目指して一緒に勉強もしている。
とにかく、大分遠回りはしたけど、今僕たちは幸せだ。
そして、今でも時々彼女は聞いてきます。
「あたし・・・って・・・・どう?」
勿論僕の答えは・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます