第5話 僕の気持ちは
翌日昼休み。
来ないことが当たり前のはずなんだけど、今日は梶さんが来なかった。
堀内と雑談しながらの昼飯。
『寂しい?』いや、僕自身は面倒事が嫌いだし、ギャルとかタイプじゃないし、嫌だったとは思うけど、何処か彼女とのやり取りを楽しんでたのかな?
それとも昨日彼女が初恋の麗香ちゃんかもしれないとわかったからなのか?
もやもやした気分の中、午後の授業を受け、放課後に隣のクラスの恩田さんに彼女の事を聞きに行ってみた。
「恩田さん」
「あ、オサゲン君。どうかしたの?」
「梶さんの事でちょっと聞きたいことがあって」
「麗香ちゃんの事?うん話せる内容なら話すよ」
と恩田さん。話せる内容か・・・
確かに本人の知らないところで色々と話をされるのは気持ちよくはないな。
「梶さんの名字の事なんだけど、俺が知ってる梶さんは"加納"って名字
だったと思うんだけど人違いなのかな?」
「あ、そのことか。
同一人物だよ。麗香ちゃんのご両親が離婚して母方の"梶"って名字に
なったんだよ。
で、その後、実家のある東京の学校に転校しちゃったんだよね。
だから去年高校に編入してきて再会したときはびっくりしちゃって」
えっ転校?編入?彼女引っ越したのか?
「転校っていつ頃の話ですか?」
「中学1年の後半かな。
2学期の終わり頃に急に転校って言われたんで驚いたんだよね。
本当はお別れ会とかもしたかったんだけど、そういうのも出来なくて」
2学期の終わり。ちょうど僕が告白した時期だ。
「ありがとう!僕はまだフラれてなかったのかもしれない」
「ん?フラれてなかった?ってオサゲン君麗香ちゃんに告白でもしたの?」
僕は座っていた椅子を立ちながら答えた。
「5年近く前の話しだけどね」
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恩田さんのクラスを出て、梶さんのC組へ向かった。
『もう帰っちゃったかな』
3年生ということで部活も引退し予備校等受験に備える生徒も多い。
C組の中も人は少なくなっていた。
『居ないな。やっぱり帰ったか』
と教室に入り梶さんを探していると
「おぅ小山内!どうした?」
とバスケ部の森野が声を掛けてきた。こいつも小宮と同じく付き合いのある数少ない友人だ。
「このクラスの梶さんに用事があったんだけど・・・」
「ん?梶ってあの残念美少女様か? 確か今日は学校休んでたぞ」
「そ そうか休みか・・・」
「小山内って梶と知り合いなのか?
「え?あぁ知り合いといえば知り合いかな」
「歯切れ悪いな。どういう関係だ?まぁ梶もしゃべらなければ見た目はギャル系美少女なんだけど・・・
あ、知り合いなら もしかしてこの後お見舞いとか行ったりするか?俺、学級委員でさ、今日配布された進路指導の案内を梶の家に届ける様担任に頼まれちゃったんだわ。
面倒だし2年の弟君に渡してこようかと思ってたんだけど小山内が行くなら届けてくれないか?」
『えっ!お見舞い。彼女の家に行けと!そんなのいきなりハードル高いぞ』
でも・・・・
「やっぱり、お見舞いまでは行かないか」
「い いや僕が行くよ。用事もあったしな。家の場所は知ってるのか?」
「弟君に渡すつもりだったけど、住所は担任に聞いた。というか川北のバスターミナル横のでかいマンションだよ」
あそこか。一昨年出来た家賃高そうなマンション。
「わかった。届けたら後でラインするよ」
「おぅ頼んだ!」
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