第12話 ライバル校
今日の相手は前回決勝進出を阻まれた森下学園だ。
そして試合会場も森下学園。もちろん応援席はほとんど森下学園の生徒で埋まっている。完全にアウェイな環境だ。
ただ、先輩達も昨年の雪辱に燃えている。
「今日の相手は因縁の森下学園だ。力を温存していては勝てない。
最初から全力で行くぞ!!」
「「おお!」」
「それから、予定より少し早いが清水もこの試合からベンチに入る。
出場はゲームの進行状況をみて判断する」
と雪村部長。
「清水!大丈夫なんだろうな」
「手抜いたら許さないからな!」
仲間から清水への激が飛ぶ。あいつも頑張ったんだ今日は絶対に勝つ!
ウォーミングアップの後、スターティングメンバーがコートに入る。
PG:雪村部長(3年)、SG:古田(3年) SF:吉城(3年)
PF:小宮(2年)、C:森野(2年)
守備の得意な畑先輩を外してシュート力のあるメンバを揃えた布陣だ。
コーチも部長も完全に攻めで行くみたいだ。
審判の笛の音にあわせ試合が開始される。
ジャンプボールは森野先輩。
うちの部では高さもジャンプ力もトップクラスだけど、今日は相手が1枚上手。
わずかな差で競り負けてしまった。
弾かれたボールは森下のPG:豊田が拾い素早く前線にパスを送る。
が、パスコースを読んでいた雪村部長がボールをカットしゴール下に走りこむ古田先輩へ。
パスを受けた古田先輩はシュートを放つが、森下のセンターにブロックされ・・
双方の実力は拮抗し一進一退の攻防が続いた。
「福島!長谷部!交代行くぞ!」
「はい!」
疲れが見えてきた雪村部長と森野先輩に代わって俺と長谷部が入った。
「頼んだぞ!」
「「はい」」
出し惜しみはしてられない。俺も長谷部もコートを走った。
・・・・・
前半は2点差で俺達がリード。
でも2点だ。スリーポイント1本で逆転される。
「森下は後半戦勝負でメンバを温存しているはずだ、こっちも総力戦だ
清水、由良 1年も出すからアップしとけ!」
「「はい」」
後半。
前半の途中で下がり体力を温存した雪村部長がコートに復帰しゲームを進める。
的確な指示と流れるようなボールさばきで相手を翻弄する様は流石だ。
「清水!」
走り込み清水へのパス。森下学園もパスを読んでシュートコースを塞ぎに入るがこれは清水はフェイク。
清水はパスをスルーし、そしてその先に走りこんだ吉城先輩がシュート。
「ナイスシュー吉城!」
古田先輩と吉城先輩がハイタッチしている。
雪村先輩を中心に何度も練習した数十種類にも及ぶセットプレイ。
今の3年生が作り出した川野辺高校バスケ部の必勝パターンだ。
ただ、相手の動きを読みパスを出すタイミングでどのセットプレイかの指示を出す起点はPGだ。今は雪村先輩が居るけどこの大会で引退。
来年以降もこのプレーを行うなら、起点となるPGの役割は重要だ。
俺や清水に出来るのか・・・
その後も後半戦は一進一退の攻防。
森野先輩や古田先輩がシュートを決めれば、森下学園も得点を決める。
メンバーもコーチの言葉通り1年、2年のレギュラー控えのメンバーも全て出場する総力戦となった。
そして、タイムアップ。
前半のわずかな2点リードを守り切りギリギリの勝利と決勝進出を得た。
--------------
「何とか勝てたな」
試合が終わり、軽いミーティングの後、今日は現地解散となった。
そして、今は清水と二人で最寄りのバス停まで歩く。
こいつとこうして二人で歩くのも久しぶりだ。
「あぁ。。ただ勝てはしたが、1対1の勝負では森下の選手に勝てなかった」
「だな。今日の試合は雪村先輩のパスが生きたからだ。
俺や清水だけでは勝てなかったな・・・・」
「まったくだ。憧れの先輩とはいえ、まだまだ差は大きいな」
本当今日の試合は勉強になった。
「決勝進出おめでとう! 清水君足の方は大丈夫?」
と浜野さん。会場で応援してくれていたらしい。
「あぁお陰様で大丈夫だ。
ただ、少し無理したから痛み止めが切れたら痛みとかあるかもな」
「もぉ~ 無理しちゃだめだよ。あんまり心配させないでね!」
・・・俺はここにいるのお邪魔も知れないな。
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