第13話 試合の後で
「負けちまったな・・・・・」
「あぁ・・・・・」
「でも、勝てない試合ではなかったよな」
「あぁ、ただ俺達に力が足りなかっただけだ」
「勝ちたいな」
「もちろんだ。次こそは必ず!」
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俺達は因縁のあった森下学園を倒し遂に県大会決勝に駒を進めた。
試合直後は、皆勝利に高揚していたが、冷静になった後は今日の決勝に向けさらなる練習に時間を費やした。
ただ、思ったようにはいかなかった。
森下戦で、雪村先輩が負傷していた。
何とか出場はしたものの途中交代。
切り札でもあったセットプレイの起点であり試合をコントロールしていた雪村先輩の交代で戦局は相手に傾いた。
森下学園よりは格下とされる相手ではあったが、決勝に駒を進める高校。弱いわけがない。
交代した北島先輩や俺も雪村先輩の代わりとして頑張ったが力及ばず。
ボールの支配率含め相手チームが試合のイニシアティブを握り結果として負けることとなった。
控室で軽くミーティングをした後、現地解散となった。
3年の先輩はこの大会で引退だ。
つまり、今日が最後の試合となったんだ。
そう思うと自分の力不足が悔やまれる。
と雪村先輩が近づいてきた。
「よっおつかれさん。
二人とも1年であれだけ動ければ十分だ。来年が楽しみだよ」
「あ ありがとうございます!頑張ります!」
と清水。少し口角が上がってる。
雪村先輩に憧れてこの高校を選んだ清水からしたら、やっぱり嬉しいだろうな。
「僕たちは、公式戦はこれで引退だけど、部活にはまだしばらくは残るつもりだ。
北島もだけど清水と福島には僕の知識は全て叩き込むつもりだ来年は頼むぞ」
「「はい!!」」
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「ん? あれ」
「浜野さんか?」
試合からの帰り、俺と清水が歩く先に浜野さんが立っていた。
「清水の事を待ってたんじゃないか?」
「そ そうかな」
「そうに決まってるだろ。ということで邪魔ものの俺は先に帰る。
お互い疲れてるんだから今日は早く帰って休めよ。じゃな!」
「おい 福島!!」
と俺は浜野さんに「じゃ」と軽く挨拶し、横を通り過ぎた。
「あいつ 変に気を遣いやがって」
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川野辺駅近くの喫茶店。
俺 清水裕也は浜野さんと二人きりで向かい合って座っている。
喫茶店自体は村田や小早川と入ったこともあったけど、浜野さんと二人きりは始めてだ。というか学校やリハビリ以外で二人きりって初めてかもしれないな。
それに俺は試合の帰りということで制服だけど、浜野さんはかわいらしいワンピースを着ていた。私服姿の浜野さんを見るのも初めてだ。
何だかそう思うと妙に緊張してきた。
「・・・残念だったね試合」
「試合。見に来てくれてたんだ」
「うん」
「ごめんな。カッコ悪いとこ見せちゃって。
今までリハビリとか弁当とか色々助けてもらってたのに」
「そんなことないよ。清水君も福島君たちもみんな全力で頑張ってたし
カッコよかったよ」
そう言ってくれるだけでも嬉しいな。。。
本当は勝ったら浜野さんに告白しようかと思ってたんだけどこれじゃな・・・
「清水君。足の具合どう?」
「お陰様で違和感なく動くし、まだしばらく注意は必要だろうけど大丈夫かな」
「そか・・・じゃぁ私のリハビリのお手伝いもお終いなのかな・・・」
そうだ。浜野さんはバスケ部じゃないんだ。俺のリハビリを手伝うために・・
浜野さんはクラスも違うし、手伝いが終わる今みたいには会えなくなるのか・・
そんなの嫌だ。
「浜野さん。来年は絶対に全国に行く。
だから、出来る範囲でいいからマネージャとして一緒にいてくれないかな」
「マネージャ?」
「あぁ。本当は俺専属のって言いたいところなんだけど言えた身分じゃないし」
「俺専属・・・」
ん?浜野さん顔赤くなってきたけど、俺の発言ヤバかったか?
「俺専属って恋人になってほしいってことですか?」
あ・・・そういうことか。俺軽く告白してるじゃん・・・あぁもうこの際だ!
「そ そういうことかな。浜野さんが嫌じゃなければ俺と付き合って欲しい!」
言っちまった~
「・・・・あ、あの私で良ければお願いします」
小さい声ながらも俺の告白を受けてくれたみたいだ。
「え!本当に良いの!ありがとう美玖!」
あっ名前で呼んじまった。
一瞬驚いた表情を見せた浜野さんというか美玖だったけど、微笑みながら言った。
「どういたしまして裕也♡」
こうして俺と美玖は付き合うようになった。
そういえば、一緒にテーマパークに行く約束もしてたな。
あの時は連れてって欲しいって頼まれた形だったけど、今となってはデートだな。
俺と美玖の初デートだ。ちゃんと調べてプラン考えないとな。
ちなみに美玖は料理部と兼部でバスケ部のマネージャにもなってくれた。
男子バスケ、女子バスケ兼任でコーチや部長のアシスタントや相手校の偵察など、美玖の経験を活かし活動してくれた。
本当頼りになるな俺の彼女は。
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