第7話 ポンコツさん
翌日。
木村と雑談していると小早川と村田が近づいてきた。
相変わらず、村田は俺の事を睨んでる。
『昨日はまぁ何とか良い感じだったのにな』
「何か用か?」
「ほら綾!」
珍しく村田が小早川に急かされている。
「お・・・」
「お?」
「お弁当」
「はぁ」
「作ってきてあげたから、ありがたく食べなさい!」
と俺に持っていた弁当箱らしき包みを渡し教室の外に出て行ってしまった。
「ちょ ちょっと綾!福島君と一緒に食べるんじゃないの!」
「え?」
「ごめん。とりあえず、そのお弁当、綾が早起きして作ったみたいだから後で感想伝えてあげてね。喜ぶから」
「お おぅ」
昨日の下校時といい、村田はどうしたんだ?
これはこれでわけわからんぞ。
と折角なのでもらった弁当を包みから出す。
おかずとご飯を分けていれる2段型の弁当箱だ。
1段目。蓋を開けると美味しそうなミートボールや卵焼き、それに煮物など健康を考えたバランスの取れた食材が並ぶ。中々家庭的というか料理上手みたいだな。
そして2段目。白米かなとをあけると確かに白米だけど、桜でんぶでハートマークが・・・・・あからさまだろコレ。
「なぁ福島。村田ってお前の事が好きなんじゃないか?」
「偶然だなぁ。俺も今、そう思ってたとこだ」
昨日は清水から村田が俺と友達になりたいとか、実はツンデレさんということは聞いたけど・・・そういう事なのか?
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「ちょっと綾待ちなよ!!」
「お昼誘うとかやっぱり無理!!」
「もう。渡し方はともかく折角お弁当渡せたのに逃げなくても」
「うぅ~」
「だいたい、普段はクラスの男子に囲まれて普通に話ししてるのに何で福島君はああなのよ」
「き緊張しちゃうんだよ。普通に話そうと思えば思うほど変な事言っちゃうし。
それにあのお弁当・・・・流石にやり過ぎじゃなかったかな」
確かに少しあからさま過ぎたかもだけど。
「だ 大丈夫だよ。余程嫌われてない限りは好意は伝わるよ」
「私・・・嫌われてるかも・・・」
「大丈夫だよ(多分) 昨日可愛いって言ってもらってたじゃない」
「そ そうよね。可愛いって言われてたよね」
何というか結構重症ね・・・
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「というわけなのよ清水君に浜野さん」
放課後の家庭科室。
今日はバスケ部が休みの日ということで清水君と浜野さんに綾ちゃんの事を相談していた。
場所は浜野さんが所属する料理部の部室である家庭科室。
今でもバスケ部が休みの日は料理部に出ているそうだ。本当に料理好きみたいだ。料理のセンスがない私からするとちょっと羨ましい。
で、清水君はそんな浜野さんが作った料理を試食するために家庭科室に来ているらしい。別にリハビリとかは関係ないはず・・・
「ふ~ん 相変わらずというか・・・でも村田がこんな感じになるのは意外
だったな。小早川も健吾が戻ったら意外とポンコツになるのかなw」
「わ、私は大丈夫だと・・・・思うけど」
「え、えっ誰その健吾君って。もしかして小早川さんの彼氏さん?」
浜野さん。。おとなしい子かと思ってたけど意外とこういう話好きなのかな。
「う~ん。彼氏とかじゃないよ私の片思い。
それに海外に行ってていつ戻ってくるのかも分からないの」
そうなんだよね。ケンちゃんからはここ数年連絡もないし、もう私の事とかも忘れちゃってるのかも。友達の恋愛相談してる場合じゃないのかもなんだよね。
「あああ!すまん小早川!」
「ん?どうしたの」
「健吾だけど、多分来年日本に帰ってくる」
「え!何それ!聞いてないよ!」
「ほら、うちの親学校の保護者会の役員やってるだろ?
健吾の母ちゃんから高校編入の相談が来たらしいんだよ。
おばさんたちはまだ向こうに居るみたいだけど健吾は日本の大学を
受けさせたいから来年からこの高校に編入させるみたいで」
「って小早川聞いてるか? お~い」
ケンちゃんが帰ってくる・・・・
「駄目だ。。。小早川もポンコツ予備軍だ」
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