第5話 協力者

福島が帰ったあと、間をあけて村田と小早川が見舞いに来てくれた。


「清水君大丈夫?何か欲しいものとかある?」


と小早川。何だか色々と心配かけちまったな。


「あぁ大丈夫だ。一応松葉杖使えば歩けるしな。それで、え~とそちらの方は?」


そう。村田と小早川の他にうちの高校の女子が1名来てくれたんだよね。


「あれ知り合いじゃなかったんだ。川北中でバスケ部だった浜野さん。私と楓は顔見知りでね。

 病室の前でうろうろしてたから声掛けたんだけど・・・」


と村田。川北の浜野さんか、多分初対面だな、もろ好みのかわいい子だし会ってたら忘れないはず。


「は はじめまして 1年D組の浜野 美玖です。

 あ あの中学の時に練習試合で私が見かけたことあるだけなので

 清水君と話しするのは初めてです」

「浜野さんは俺の見舞いに来てくれたの?」

「はい。昨日清水君が倒れた時、バスケ部の見学してたんです。

 それで、足を負傷したって恩田先輩にお聞きして。

 あ、恩田先輩は中学の時お世話になって。

 それで、私に何か手伝えること無いかなって思って・・・」


手伝える?


「あ、そうか普通にしてたから忘れてたけど浜野さんも足を・・・」

「うん。私の場合は交通事故だったから・・・

 何とか普通に生活できるようにはなったけど、あまり激しい運動はしないようにって言われてバスケは諦める事にしたんだけどね。

 ただ、色々リハビリとかトレーニングは頑張ったんで、清水君がバスケに戻れるなら少しでもお役に立ちたいと思って」

「ありがとう。俺も今後のリハビリについて考えてたところだったんだ。

 詳しい人がいると凄く助かるよ。何とか1か月で部活に復帰したいんだ。出来れば手伝って欲しい」


今の俺にとっては凄くありがたい申し出だな。


「1か月?随分短期ですね。何か理由があるんですか?」

「ああ」


俺は直前に来ていた福島との約束を話した。

決勝まで絶対残るというあいつの申し出を


「あいつは約束を破る様な奴じゃない。それに雪村先輩や小宮先輩もいるんだ。俺も絶対に間に合わせたい」

「・・・・結構無理するかもしれないですけど大丈夫ですか?」

「あぁ俺も約束は守りたい。よろしく頼む」

「わかりました。ちょっとリハビリ科の先生のところに行ってきますね」


浜野さんもこの病院に入院していたらしく、当時リハビリを受け持ってくれた先生に会いに行くと病室を出て行った。プランを相談するそうだ。


「優しくて強そうな人。何だか心強いね」


と小早川。


「ふふ~ん 浜野さんってもろに清水君の好みのタイプでしょw」


と村田。こいつは・・・

まぁ好みという点は否定はしないけどな。


「村田。このタイミングでなんだけど、昨日の話しの続きだ。福島の件。あいつお前に何かしたのか?

 あいつも結構気にしてるんだよ。もし何か理由があるなら教えてくれ。

 逆に理由もなく嫌がらせしてるなら、これ以上手を出すのは止めろ」

「うっ・・・・・言わなきゃダメ?」

「そうだよ綾ちゃん。さっきも福島君が傘を貸してくれたじゃない。私も悪い人には見えなかったよ」


昨日も部活前に俺と小早川で福島の件を村田に詰め寄ったんだけど逃げられてしまったんだよな。まさか急に泣き出すとは思わなかったし。

一体なんだっていうんだ。。。。


「あいつは・・・福島君は悪くないよ」

「じゃあ村田の都合で嫌がらせしてるのか?」

「嫌がらせしてるってわけじゃないの。その・・・ただ、構ってほしくて。。。」

「「はぁ?」」

「だ・か・ら、私は福島君に構って欲しかっただけなの!」


いや、強気に宣言されてもさぁ。


「何処のツンデレだよ。確実に悪手だぞ」

「だって、クラス同じなのに私に話し掛けてこないし、他の男子が近寄ってくるのにあいつ近くにさえ来ないんだよ?」

「あ あぁ。。。」

「バスケも上手いし、模試も高得点で頭もいい。見た目も凄く好みなの」

「は はぁ。。。」

「ただ、普通に声掛けようとすると何だか緊張しちゃって・・・どうすればいいのかな?」


なんだこいつ。こんな面倒な子だったっけ?

それとも好きな男が出来ると変わるのか?


「ようは、村田は福島の事が好きなんだな?」

「う うん」


あれだけ言っておいて今更ながらに顔を赤くしてるよこの人・・・


「普通に告白とかは・・無理そうな感じ?」

「多分、また福島君が嫌がりそうな事言っちゃいそう・・・」


あ~めんどくせ~


「わかった。村田も福島も大切な友達だ。

 二人が上手くいく方法何か考えとくよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る