第3話 怪我

新学期が始まって早2か月。模試やスポーツ大会、中間テストと怒涛のイベントも無事終わった。

そして、イベントを通して俺にも清水以外の友人が何人か出来た。


最近は座席が近い木村と一緒にいることが多い。

木村は、母親が仙台出身という事で、共通の話題で盛り上がれたこともあり清水に続く友達2号に任命した。

木村はサッカー部所属。競技は異なるけど体育会系ということで何となく話も合うんだよな。

そんな木村との昼休み。ノンビリ弁当を食べながら雑談に耽る。


「そういえばさ、お前村田さんに何かしたのか?よく睨まれてるじゃん」

「それな。。。俺が聞きたいわ。身に覚えはないんだけどな」


相も変わらず村田は、何かというと俺に絡んで文句を言ってくる。

この間も部活の帰りに清水と模試の結果を見せ合ってたら


「私より成績良いとかどういう事!」


と勝手に覗き込んできたのに理不尽に怒鳴られた。流石に見かねた清水が注意してくれたけど正直意味が分からん。


他のクラスメートには愛嬌振り舞いて人気があるのに・・・

黙ってりゃ可愛いし、俺にも優しくしてくれとは言わないが、そんなに俺が嫌いなら無視してくれればいいのにな全く。

などと思いながら部活に行くため、体育館へ続く渡り廊下を歩いていると、その村田が体育館の方から歩いてきた。

正直関わるのも面倒なのでそのまま通り過ぎようとしたところ、


「なんで私の事を無視するのよ!」


と突然村田に怒鳴られた。


「はい?」


と思わず間抜けな返事をしてしまった。

村田はそのまま走って行ってしまったけど・・・あいつ泣いてた?

よくわからん・・・と思いつつもあいつの泣き顔が頭を離れなかった。


更衣室で着替え、体育館に入っていつもの様に柔軟からスタート。

柔軟を終え、走り込みをしながら女子バスの方を見るが村田は居ない。

[体育館の方から来たし今日は休みなのかな]

そんなことを考えていると突然『バタン』という大きな物音と『きゃー』という女子の悲鳴がした。

何が起きた!と後ろを見ると、清水がふくらはぎを抑え倒れている。

「「清水!!」」

慌てて駆け寄る先輩やコーチ。俺も近くに向かった。


「肉離れをおこしているな。オーバーワークだったのかもしれない。

 清水は、このまま僕が病院まで連れてきます」


とコーチ。

皆が心配そうに見守る中、コーチが肩を貸す形で清水は体育館を出て行った。


「福島。よかったなライバルが自滅したじゃんか」


と同じ1年の由良。何言ってんだこいつ。


「おい。お前それ本気で言ってんのか?

 あいつはライバルだけど大切なダチだ。嬉しいわけないだろ!」


ムカついたので語気が荒くなってしまった。。。


「じょ 冗談だよ。。大事に至らなきゃいいな」

「そうだな。だけどな俺はこういう冗談は嫌いだ」

「あ あぁすまん」


冗談でも言っていいことと悪いことくらい考えて欲しいぜ。

それにしても大丈夫かな清水は・・・


-----------------------

コーチに肩を借りて体育館を出た。

自動車で医者まで連れてってくれるとの事だ。


「大丈夫か裕也?」

「あまり大丈夫じゃ無いですね。。。」


牧村亮。去年からコーチをしてくれているバスケ部のOBだ。

そして小早川の従兄でもあり、俺や小早川、村田にバスケを教えてくれた先生でもある。


「にしてもらしくないな。気合が入りすぎたか?」

「ライバルが強力ですからね。ちょっと張り切りすぎました」

「確かに福島は、今のお前より上手いからな」

「・・・でも負けたくないです」

「負けず嫌いは相変わらずだな。

 だけど、多分足の筋肉痛めたみたいだな。

 しばらくは別メニューでリハビリが必要かもしれないな」

「・・・・・はい」


学校近くの病院に連れてってもらったけど、やはり筋肉を傷めていた。

全治1か月。完治はするしバスケも出来るらしいけど当面リハビリが必要だそうだ。自業自得とはいえ辛いな・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る