テンプレから脱却する話

 何も全てテンプレやらステレオタイプが悪い訳ではないものの、私としては物足りないし何より心を掻き乱す(必要以上に感情移入してしまう)こともあり、それら全てを巻き込む形で言ってしまおうと思う。「大嫌いだ」と。昔からその気はあったのかもしれない。あれは母がゲームをプレイしていた時のこと。そのゲームに登場する悪役キャラクターの所業が心の底から許せないと思ったのだ。こういったことはその時だけでなく、似たようなことがその後何回も起きた。ついでに動画サイトでとある曲と出会ったことにより、私はそれらを病的なまでに嫌うようになってしまったのだった。これらが嫌いという理由から、時には軋轢を生み出すこともあった。

 大方話の展開はワンパターンで考察のしがいがない上に(考察も物語を楽しむ為の重要な要素だと感じているので)、構図が単純なのだ。悪く言うつもりはないのだが、善玉と悪玉が決まり切ったパターンは一度イメージが固定されると、余程のことがない限りはそのイメージが頭から離れなくなってしまう。それが理由で私の心が掻き乱されて行くので、私にはそういう作風は合わないということなのだろう。また、こういった話は数多の読者に受け入れられやすい反面、ある程度法則さえ覚えてしまえば、誰にでも作れてしまう。その為、表面だけを切り取って真似をする人が増える(オリジナルでも、そういった話は多い)。また、特別な知識が必要ないので、考察をする必要はほぼないだろう。

 私はアンチテンプレを掲げてはいないものの、テンプレからは外れた物語を書いている。詩を交え、心の赴くままに話を組み立てていくのだ。時にはどこかで聴いた音楽も混ぜている(歌詞つきならまだしも、インスト曲まで混ぜている)ので、多くの人から「わからない」とはっきり言われてしまった。(様々なものとリンクさせているので、色々と調べる必要があるというのも理由)しかし、この「わからない」はメリットでもある。というのは、考察をする楽しみがあるので何回でも読むことができるのだ。また、先読みが出来ないので、次にどんな展開が来るのか考えるのもまた一興だろう。ただ、私の作品の多くは具体的な法則があるにはあるが、それを見抜くことはほぼ不可能であるから手探りで解を探すことになるのだが。それでも、私の小説を楽しみにしている人は必ずいる。難解だが面白いという理由から、支持者は少ないながらもいる。たまには読者を裏切ってもいいかもしれないが、基本的には自分が定めた軸の中で作品を構築していくことにしている。

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