第9話 チビの写真を前にして
チビの写真を前にして、自分とアカネは無言で座っている。自分は今はちょっと落ち着いている。けれども、アカネは何も言わない。
しばらく、しぃんとした空気が流れる。アカネも、きっと辛いのだろう。チビが小さい時のことをアカネも知っているからだ。
しかし、アカネが何か言ってくれないと、息が詰まりそうだ。チビの写真、笑顔のチビ、もう帰ってこないチビ。
「あのね……?」
アカネが、やっと言葉を口にする。
「うん?」
自分は返事をした。
「怒らないでね? チビはケンと一緒にいて楽しかったと思うの。チビは、いつまでもケンのそばにいるの」
自分はそれを聞いて、チビの写真を見た。笑顔のチビ。自分は涙が出てくる。アカネが何も言わずに自分の肩を抱き寄せてきた。
自分はなぜか泣いているのに暖かい気持ちになった。アカネは、泣いている自分をギュッと抱き寄せた。
続く
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