新年




 年末の話を一気に書きすぎてもう年明け後の話になってしまっている事を反省したっていい。

 というわけで、クリスマスからニューイヤーズイブと日本で過ごした沙羅は帰国後、かなり疲れ果てていた。



「船旅辛すぎワロス・・・・・・そしてアメリカ帰ってからのD.Cへの道程も遠かった・・・・・・もゥまぢ無理・・・・・・」



 だいぶ慣れて染まってきたとはいえ、彼女は平成生まれの普通の女の子であり、この時代の、太平洋を横断しての国際旅行というのは苦行でしかない。



「大統領みたいなおばさんには応えますよねえ」



「ジョージ何か言った?」



「ですから大統領みたいなおbごふっ・・・・・・サーセン」



「ふぅ。まあそれはそうと、本当に疲れたわね」



「そうですねえ。まあ今日はゆっくり休みましょう」




 数日後、ハリー・スティムソン陸軍長官がホワイトハウスの沙羅の元にやって来た。



「ハリー、戦況はどう?」



「かねがね順調とまでは言いきれませんが、こちらは数で勝っておりますゆえ、次第に良くなっては来ています」



「そう」



「ですが少し問題が・・・・・・」



「何?ロシア軍や日本軍と上手く行ってないとか?」



「そういう事では・・・・・・なくもないというか。その日本軍の事なんですがね」



「日本軍がどうかしたの?」



「戦闘に関しては彼ら日本人は非常に勇敢で頼もしい存在ではあります。しかし、彼らはその・・・主要国唯一の有色人種国家の軍として戦っている事情もありまして、ナチの強制収容所解放をまず急いで欲しいとの声がかなりの日本軍指揮官から・・・・・・」



「そうよねえ・・・参戦前の難民救出作戦で救い出せたのはあくまでほんの一部・・・・・・今でもヨーロッパの日系人やユダヤ人達はナチの手に・・・・・・でも急いては事を仕損じるとも言うしね・・・・・・・・・」



「そうです・・・我々も彼らの気持ちは分かりますが、あまり徒に損害を増やすような真似は・・・・・・」



「でも少しは急がないと彼らの同胞達の運命は・・・・・・」



「難しいとこです」




 連合国主要四カ国唯一の非白人国家として、ナチス・ドイツの優生主義政策に真っ向から対立する日本。

 彼らにとって敵地に残された同胞の救出は何よりもの使命であった。



「・・・・・・そういえば、フランス上陸作戦の準備はどうなってるの?」



「はっ、各国亡命政府とも調整しまして今年中には実行が可能かと」



「そっか・・・東西から挟撃できれば、ナチを屈服させるのも早くなるわね。そしたら、日系人やユダヤ人達も早く助けられる・・・・・・」



「そうですね。なんとか戦争を終わらせれば・・・・・・」



 太平洋で戦争がなかった分、史上最大の作戦の実施は早く決まった。

 後はなんとか早めの終戦を祈るのみ・・・・・・




















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