開戦



 エリザベスが前任ルーズベルト大統領のニューディール政策を受け継ぎ経済回復を続けていたアメリカ合衆国であったが、この世界でも1937年冬頃からその回復に翳りが見え始めていた。そこでエリザベスこと沙羅は自ら見てきた、学んできた歴史を参考にしつつ、連邦政府による積極的な経済介入を行ったが合衆国経済が再び回復に向かうのは、1939年に入ってからの事であった。

 そしてその年と言えば・・・・・・



 1939年 9月1日



 この世界でも、ドイツ軍はポーランドに侵攻。そして、ポーランドに独立保証をしていた英仏露はドイツ国に宣戦を布告。第二次欧州大戦の始まりである。

 ただ少し我々の知る歴史と違う点は、ソ連が存在せず、ドイツスロバキア同盟軍のみでの侵攻となった事である。




 翌日



「やっぱりこの世界でも・・・・・・」



 ホワイトハウスで、欧州で戦争が始まった事を伝えるラジオのニュースを聞きながら沙羅は呟く。そして、以前ロスで沙羅の知る歴史を聞いていたスタッフ達も驚きを隠せない。



「大統領、本当に大戦争がまた始まってしまいました!」



「私の知る歴史では、この年はドイツとイギリスフランスの間で大きな戦いはなくて、まやかし戦争なんて呼ばれてた。そして、来年ドイツはオランダ、ベルギー、フランスに侵攻。あっという間にパリを占領して、フランスは降伏。フランスは連合国側の自由フランス、枢軸国側のヴィシー政権に別れる。そして、再来年にはドイツはロシアに侵攻・・・・・」



「しかし、既にロシアは宣戦を布告しております」



「そうよね・・・で、ポーランドの状況は?」



「ドイツ軍はかなり準備していたようで、西部国境線のポーランド軍はかなり苦戦しているようです」



 沙羅はこの日の事を予測し、ポーランドを守る為に英仏露連合軍側の陸空軍戦力をドイツとの国境線に増強配備するように各国に働きかけを行っていたが、国民世論も戦争を忌避し、第一次大戦の記憶からドイツを無駄に刺激したくない英仏露の複雑な思惑により上手く行っておらず、この世界でもポーランドは苦境に立たされる事となった。

 そして、この戦いの最中、日本はある計画を発動するのであった。

















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