Just One
床町宇梨穂
Just One
久しぶりに会った君は相変わらず素敵だった。
触ったら折れそうな少女のような体も、丸みをおびて女のそれになっていた。
長かった髪も肩に触れるほどになっていたし、目もとのメイクもはっきり描いていた。
僕は君に嫌われているのだと思って、いままで連絡をしなかった。
だって僕は君を傷つけてしまったから・・・。
でも、久しぶりの再会に僕達は上気していた。
会わなくなってからのお互いの状況を話しているうちに彼女が言った。
「また前みたいに食事にでも連れていって・・・」
数年前、僕は彼女にとても興味を持った。
そして、その思いが通じた夜に、僕はその興味を失った。
彼女からの電話に出なくなり、僕は彼女に会うことを避けるようになった。
彼女に嫌われてもしょうがない事をしてしまっていた。
でもその彼女がまた前のように会って欲しいと言う。
僕は正直うれしかった。
彼女は許してくれていたのだ。
そして、彼女は新しい電話番号を僕に渡した。
「本当にまた電話して良いの?」
「うん、いつでも電話して・・・。」
僕は次の夜彼女に電話をした。
5回ベルが鳴っても彼女は電話に出ない。
7回目のベルの後に留守番電話になった。
留守番電話の声は聞いた事がない男の声だった。
やっぱり彼女は僕の事をまだ許してはくれていないらしい。
女の怖さを見たような気がした夜だった・・・・・・。
Just One 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
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