Personality Disorder

床町宇梨穂

Personality Disorder

僕には誰にも負けない特技が一つだけある。

それはかき氷の早食いだ。

人々は冷たいものを一気に食べると頭が痛くなるらしい。

しかし、僕にはその感覚が分からない。

頭痛のような痛さなのかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。

傷みを想像するのはとても難しい。

味覚以外でも僕は冷たいものに対して鈍い。

周りのみんながコートの襟を立てて、白い息を吐いている時だって、僕は鼻の頭に汗をかいている。

とにかく、僕は冷たいものに対してかなり鈍感なのだ。

また、精神的に冷たいものにまで鈍感なのだ。

態度、言葉、などの事だ。

だから、周りの人々を傷つけてしまう。

そして、ほとんどの場合自覚症状がない。

つまり、冷たいものを食べて頭が痛くなるって言うのが分からないのと同じだ。

人に分かって僕に分からない感覚がある。

少しだけ劣等感を感じてしまう。

でも、僕にはどうしようもない事だ。

努力したって冷たいものを食べて頭が痛くはならないのだ。

彼女はそれを分かってくれていた・・・と僕は思っていた。

実際は彼女自身が我慢してくれていただけだった。

しかし、彼女の我慢は僕にとってとても心地よかった。

僕が彼女にした事の意味は今でも僕には分からないけれど、彼女と別れてから気付いた事がある。

僕が少しだけ感じていた劣等感が大きくなった事だ。

そして今、僕はとてもかき氷を食べて頭が痛くなってみたい。

今まで感じた事のない感覚を感じてみたい。

かき氷を少しも溶ける前に食べきれなくなるのはとても残念だけれど・・・・・・。


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Personality Disorder 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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