【142本目】RONIN(1998年・米)
【感想】
【グラン・プリ】や【フレンチ・コネクション2】で知られるジョン・フランケンハイマー監督が、1998年に手掛けた映画です。名優ロバート・デ・ニーロとジャン・レノの共演が話題を呼びました。
フランスを舞台にした映画ですけど、作風の中に息づいている空気は完全に【サムライ】などを始めとするフレンチ・フィルム・ノワールですね。
フレンチ・フィルム・ノワールの特徴として女性キャラの影の薄さと男同士の友情、という要素があります。そしてこの映画でも、ヒロインらしき人物が登場するものの彼女とデニーロ演じる主人公の恋愛が軸になるというわけじゃないし、むしろフィーチャーされるのは主人公とジャン・レノ演じる殺し屋仲間の仕事関係に収まらない友情です。
物語はとあるケースを巡っての様々な組織の争いが主軸になっていますが、このケースがマクガフィン(【レイダース】のアークみたいな、物語を進めるための謎が収められたアイテム)となって物語を進めるという、ヒッチコックの手法に乗っ取った手堅い王道サスペンス映画になっています。
ケースの中身が最後まで明かされないのもかなり勇気ある決断って感じですが、下手に中身は世界の命運を握るアイテムだった!みたいな【007】的展開にするよりは、そっちの方がこの映画の作風に沿ってるなって感じですね。
また直接は言及されないですが、冷戦終結によって雇先と存在意義を失ったスパイの悲哀が描写されている映画でもあるそうです。
それ考えると資本主義国ながらNATOを脱退したフランスを舞台にしてるのもさらに深い文脈が見えてくるな。
【好きなシーン】
デ・ニーロ演じる主人公がやり手の殺し屋っぷりを見せつける序盤がすごい好きですね。看板を倒して護衛の有能ぶりを確認したり、雇い主のディアドラを質問責めにして依頼内容の詳細を確認したりと。軍事作戦とか殺し屋への依頼とかって実行シーン以上にブリーフィングや前準備のシーンに注目して見てしまうんですけど(【七人の侍】の仲間集め&前準備パート大好き)、主人公が作戦の成功を確実にするために不明な点をじっくり明かしていく前準備パートは「このパートだけずっと続けてくれんかな」とか思ってました。
ショーン・ビーン演じる素人臭い奴が無能ぶりを彼に見抜かれた結果実行前にやんわり解雇されるところも好みです。
あと【グラン・プリ】を手掛け、自身も元アマチュアレーサーだったフランケンハイマー監督らしい白熱のカーチェイスも見どころですが、特に中盤の逆走カーチェイスがヤバかったです。マリオカートのおまけ版キノピオハイウェイで高速道路を逆走する恐怖を疑似的に味わった人間なので、見ているだけで冷や冷やさせられるシーンでした。
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