【143本目】ムッシュとマドモアゼル(1977年・仏)

 最近のジャン・ポール・ベルモンド、カーネル・サンダースみたいに白髭生やしててわろた


【感想】

 去年、全国各地のミニシアターにてジャン・ポール・ベルモンド映画傑作選という特集上映が開かれました。

(第2弾も開催されるみたいです)


 ジャン・ポール・ベルモンドはフランスのアクション俳優として60年代-70年代にアラン・ドロンを凌ぐ人気を誇った人物ですが、【勝手にしやがれ】などの有名作品を除くとDVD化されておらず視聴困難な出演作も多い人物なので、この特集上映には数多くの人々が訪れました。


 僕もこの特集でDVDで視聴困難な映画を6作ほど見ましたが、その中で最も自分のツボを刺激した映画がこの【ムッシュとマドモアゼル】でした。


 物語の軸は、ベルモンド扮するスタントマンを中心としたドタバタコメディになっています。 

 【蒲田行進曲】や去年上映された【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】が好き好き大好きな映画好きの方は多いでしょうけど、あれに同じく映画人を描いた映画なので、映画好きの方にこそオススメしたい映画です。


 主役は業界で評価されずお金に困っていて恋人ともうまく行っていないスタントマン・マイクで、もちろん主演はジャン・ポール・ベルモンド。

 で、同じくベルモンドが映画スターだけど体を張ったアクションが一切無理なオネェ、という濃いキャラを一人二役で演じていて、撮影が難航していたスタッフがマイクに目を付ける―――というところから話は動き出します。


 60-70年代くらいのフランス映画って【サムライ】みたいな基本バッドエンドのノワール系映画が強いイメージだったんですけど(上記のベルモンド特集にも何本かありました)、【ムッシュとマドモアゼル】はその手の映画とは真逆のド痛快コメディでしたね(いくつか今の倫理観的にはヤバいシーンもあるけどw)。当然、うまく行っていない恋人ともよりを戻すハッピーエンド。

 加えて後述のように、命懸けのスタントアクションも盛りだくさんなザ・エンタメ映画です。


 ベルモンドがどんな人か知らない、って人には【勝手にしやがれ】やルパン三世のルーツと言われる【オー!】よりも真っ先にこの映画をオススメしたいところなんですけど、日本語字幕入りのDVDは出てないのが残念ですね。

 でもアクションシーンが見どころなため発売してる輸入盤でも十分楽しめる構成になっているので、未視聴の方には是非オススメしたい映画です。



【好きなシーン】

 階段から転げ落ちる【蒲田行進曲】的なシーンや、シャンデリアにぶら下がって移動する【プロジェクトA】的なシーンが一つの映画内で見れる贅沢さがこの映画のキモです。階段落ちのシーンは実際に【蒲田行進曲】の階段落ちの元ネタになったという話もあります。


 でも中でも僕が特に感動したのは、後半の飛行機スタントのシーンでしたね。セスナ機の翼の上に立るアクション、というのはハリウッドが【華麗なるヒコーキ野郎】でやってたりもしますけど、この【ムッシュとマドモアゼル】の飛行機スタントはヘリから飛行機に飛び移る、といういつ死人が出ていてもおかしくないアクションになっています。彼の出演作を【勝手にしやがれ】くらいしか知らない僕でも、どれだけ凄い人物かというのが一目で理解できるシーンでした。


 あと、コミカルながらどこかオシャレなアニメーションとアップテンポなBGMが織りなすOPも好みです。

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