【12本目】トップガン(1986年・米)
【あらすじ】
アメリカ海軍がエリートパイロット育成のために創立したアメリカ海軍戦闘機兵器学校・通称トップガン。天才的な直観と型破りな操縦を行うF-14パイロット・マーヴェリックは、相棒のグースとともに、そのエリート育成機関に配属されることになる。厳しい飛行訓練に上官やライバルとの衝突、女性教官とのロマンス。ジェットエンジンの轟音に包まれた騒々しい日々の中で、マーヴェリックは一人のパイロットとして成長していく。
【感想】
戦闘機映画の代名詞にして、我らがトム・クルーズの出世作です。
米本国で公開された1986年と、日本で公開された1987年の両方で興行収入トップを記録したメガヒット映画で、米国ではこの映画をきっかけに戦闘機パイロットを志した男子も少なくないそうです。十年位前にDVDで見た僕に、「ハリウッド映画ってこんなに面白いんだ!!」って思わせてくれた作品でもあります。
もう公開から30年以上経つ映画ですが、今見ても全く映画として色あせないですね。その理由の一つとして、やっぱり政治情勢とか、軍事的なアレコレとか、その辺のややこしいところ一切排して、【男の子が憧れる生き様】というものを鮮明に描き切ったから、という点に尽きると思います。
こうアカデミー賞とかの名誉ある賞を受賞したり、ノミネートされたりしてる映画を多く見てると、倫理的なメッセージとか、社会問題への言及とか、そういうテーマを前面に押し出した映画こそが高尚で、クオリティも高い、と思いがちです。
そう思いがちな自分に「それだけじゃないだろ!!」と喝を入れてくれるのがこの映画。
ジェットエンジンの轟音。雄々しい機体のシルエット。それらの機体が、命やプライドを駆けて撃ち合うドッグファイト。
そして化け物じみた直観でSFじみた軌道の飛行をやってのけるマーヴェリックの、ライバルや所属不明機を出し抜き、友の死で一度挫折しつつも再起していく姿。
感動とかメッセージ性とかを意識する前の、仮面ライダーにあこがれた幼稚園児の時の気持ちを思い起こさせてくれるのが、【トップガン】なんです。そういう意味では、【映画がなぜ面白いのか】という問いに対して、最も簡潔に答えを示してくれた映画と言えるかもしれません。
MCU系列の興行収入で世界的に結果残してる映画やディズニー系、ドラえもん、クレヨンしんちゃんなどの万人向けファミリー映画ですら、メッセージ色の強い作品がうまれがちですが、ここまで【男の生き様】に全振りした映画、というのは昨今ではなかなか見ないです。(アイアンマンとか、惜しいところまで行ってる映画は結構ありますが)
戦闘機なんて、見る人が見たら人殺しの道具でしかない。まだ冷戦中なのに、MiG系戦闘機を撃墜してハッピーエンドだなんて、戦争賛美ととれなくもないし時代錯誤だったかもしれない(同年に上映されたのが【プラトーン】だしね)
しかしリアルかつダイナミックな戦闘機アクションと、自分らしく生きるマーヴェリックの姿を見ていると、そういった理性的な感情を、【憧れ】という人間の中でも特に原初的な感情が上回ってくるんです。ある意味では、普段映画を見ない人に対して最も薦めるべき映画かもしれません。(そして別の意味で最も薦めるべきじゃない映画)
今年(2020年)の夏に新作の公開も決まっていますけど、変に小難しいこと言わせないで、上記のような精神を忘れないようにしてほしいなーと思う次第です。
【好きなシーン】
航空アクションシーン全般、としか言いようがないですね。
冒頭の空母の甲板から離発着する戦闘機に始まる、ほぼ実際の軍用機を使用した飛行訓練やドッグファイトは、CG全盛期の現代だからこそ余計に冴えて見えます。(CGをdisってるわけではなく)
他には上で余計なメッセージ性を排している、と書いておいて何ですが、マーヴェリックに匹敵するスキルの持ち主だったにも関わらず、あまりのプレッシャーにリタイア、という選択をとることになったクーガーにはいろいろ思うところがあります。自分も真面目人間とよく言われるので、マーヴェリックに憧れつつも、観てて感情移入したのはどっちかというとクーガーかもしれません。
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