【21本目】ジュラシック・パーク(1993年・米)
【あらすじ】
コスタリカ沖のとある島に、大昔の恐竜たちが闊歩するテーマ・パークが開園しつつあった。琥珀の中の中生代の蚊から血液、DNAを採取して生み出された恐竜たちの楽園だった。生物学者のグラント博士と古代植物学者のサトラー博士は、創立者・ジョン・ハモンドの要請でパーク開園予定の孤島を訪れた。しかし彼らの前の前に待ち受けていたのは、思わぬ悪夢だった……
【感想】
戦隊ものことスーパー戦隊シリーズで今やってるのが【騎士竜戦隊リュウソウジャー】ですけど、今アラサーの僕が物心つきたての頃に見た戦隊が【恐竜戦隊ジュウレンジャー】でして。それでちょっと恐竜にちょっと興味持った時期に【週刊恐竜サウルス】なんて雑誌も刊行してたんですけど、これが今思えばわりとガチ目の専門雑誌で。それの影響で幼稚園児から小学校低学年くらいのころにちょっとした恐竜オタク(恐竜博士、なんてオブラートに包まれた呼ばれ方をしてましたが)になってた時期があったんですよね。
その【週刊恐竜サウルス】が創刊したのが1993年10月で、明らかに日本で同年7月に上映されたこの映画にあやかった雑誌でした。だから僕があの当時恐竜オタクになったのは、間接的にこの映画の影響だったといえます(映画自体は当時ガキすぎてみてなかったですが)
スピルバーグ監督作品史上最大のヒット作にして、1993年に上映された映画では、全世界興行収入でダントツのトップ(2位とは倍以上の差)を記録した映画で、同年のアカデミー賞でも視覚効果賞、録音賞、音響編集賞を受賞した映画です。当初恐竜たちはゴーモーション(ストップモーションの進化版)で動く予定だったそうですが、ILM社のCGを使用したテスト映像に監督やプロデューサーが感動して急遽CG使用に変更された、という経緯があり、【ターミネーター2】に同じくCG時代の始まりを告げたSF映画と言えます。
といっても映画全体で見るとCGシーンの総合時間は7分弱だそうですけど、それでも当時の観客たちの度肝を抜くには十分だったということが、興収成績を見てもわかります。あのスピルバーグが計画変更してこれ使おう!ってなるくらい感動したCG技術なわけだから、一般大衆にとってそれを見たときの感動はそりゃもう尋常じゃなかったでしょう。
今CG使った映画なんてありふれてますけど、この映画での恐竜のCGは単純に鮮度が凄くて今見ても十分迫力あるんですよね。だからダメな邦画とか見てて「CGが90年代レベル」みたいな感想見る度に、この映画に謝ってくれみたいな気持ちになりますw
そのほか自分が今見てて面白いのは、グラント博士の子供に対する接し方ですね。スピルバーグ監督の過去作【未知との遭遇】や【E.T.】で父親と切り離された家族を描いてて、それが監督の少年時代に経験した両親離婚のトラウマが関係しているのは割と有名です。しかしその後彼が製作した2005年の【宇宙戦争】では子供を必死に守る父親が主人公で、過去作からの父親像の変化はスピルバーグ自身が子を持つ父親になったことが関係している、と言われています。
【ジュラシック・パーク】は、【E.T.】と【宇宙戦争】のほぼ中間期の映画ですが、それ考えると子供嫌いながら後半でレックスとティムを父親のように守るグラント博士は、【E.T.】の父親像と【宇宙戦争】の父親像のちょうど中庸に位置している人物に思えて非常に興味深いです。(【フック】のロビンウィリアムズ演じる父親にも同じことを思いました)スピルバーグ監督に実子が生まれるのが1985年ですけど、嫌みな子供に怖い解説しつつレックスとティムを助けるグラント博士を見てると、監督の中で子供を捨てる父親イメージと子供を守る父親イメージがせめぎ合ってたんだろうなってのが垣間見られるんです。
【好きなシーン】
故障した電気自動車にティラノサウルスが襲い掛かるシーンは、ザ・ピンチシーンのお手本って感じで、すごいシナリオ制作の参考にできるシーンだと思います。
本作の個性の一つである【パーク】を、複数の理由で機能不全に陥らせ、登場人物が八方ふさがりの状態になったところでもう一つの個性の【ジュラシック】をぶつける、という構成。この年齢で見ると、ティラノサウルスの迫力と同じくらい、その完璧な話運びの方に魂が疼きます。
あと後半でサトラー博士がハモンド爺さんを説得しにかかるシーンを知っていると、ブラキオサウルスとか恐竜の赤ちゃんに子供みたいに感激してるシーンで変な笑いが生まれてしまいますねw
でも実際に生きてる恐竜見たら、マルコム博士みたいなポジションにいられる人よりはサトラー博士やグラント博士みたいに子供に戻る人の方が絶対圧倒的に多いわけで。
一見【生命倫理を犯す人間の傲慢さ】がテーマ、と見せかけて【いやそうは言っても生きてる恐竜見られるんだったら見たいじゃん!?】っていうロマンもテーマになっているのがこの映画シリーズですね。
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