第7話 遊園地
大阪2日目の観光は、有名な遊園地。
オレは昨日と同じ作戦で、永遠と大介さん二人きりにさせる予定やったんやけど、朝食後に大介さんが、
「今日は4人で行きたいな。」
と言いだして、うまく断ろうと思ったけど、絆に絆と行くのが嫌なんだと誤解されるのも嫌で。
結局皆で遊園地に行くことになってもうた。
でもな。聞いてや。こう見えてオレ、絶叫系苦手なんや。小さい頃から、オレと絆は絶叫系が苦手で姉ちゃんだけは大好きやったんや。
そして、大介さんも絶叫系が大好きだった!!
せやから、遊園地に着いてから絶叫系好きな二人と、嫌いな二人はほぼ別行動やった!
だってあの二人、絶叫系ばかり乗ろうとすんねん!
でもな。楽しかったよ。
朝ご飯のときに絆とは普通に話せるようになっていたし、久しぶりやったから話も尽きなかったし、絆がオレの知っている絆のままで安心した。
かたや絶叫系アトラクションに並ぶ永遠と大介。
「翔が絶叫系苦手だったとは意外だったな。」
「大介さん、かけちゃんのことお見通しですね!
かけちゃん、ホンマは苦手でもないんですよ。
でもうちらいつも遊園地3人で来てたから、ひとり乗れないで待つ絆ちゃんがかわいそうでかけちゃんも苦手だって言い出したんやと思ってるんです、うちは。」
「なるほどね。
それは翔らしい発想かもね。」
「そうなんですよ。」
「翔はじゃあ何で絆ちゃんの告白を断ったの?」
「その話、大介さんはかけちゃんから聞いていたんですね。
かけちゃん、中学の頃から女子に人気があってファンクラブみたいなもんがあったんですよ。違う中学からかけちゃんのことわざわざ見に来る子もいたぐらい。
せやから、かけちゃんと親しくしてる幼馴染の絆ちゃんがその子らに目を付けられるようになっちゃって、中2の時にかけちゃんは絆ちゃんを学校では避けるようになったのかな。
絆ちゃんを守るために。
中学の時はうちも同じ学校やったから、絆ちゃんのことフォローできてたんやけど、高校はかけちゃんと絆ちゃんは同じやったけど、うちは別の高校だったんです。
そこでも同じようなことがあったらしくて、かけちゃんは自分が絆ちゃんのそばにいることで傷つけてしまうなら離れようと考えたんやないかなと。
だから、告白も断ったんじゃないかな。
本当は絆ちゃんのこと大好きなのに。
全部私の想像ですけどね。」
「そっか。
じゃあ、俺も想像していいかな。
永遠ちゃんがこの前東京に来て、俺らのことを大阪に誘ってくれたのって、翔を大阪に呼び戻すためだったんじゃない?
絆ちゃんのために。」
「参ったなー。
大介さんは何でもお見通しなんですね…
ごめんなさい。大介さんをだしに使ったみたいになっちゃいましたよね。」
「いいんだよ。そこはあやまらないで。
俺、本当に大阪を楽しんでるし、来て良かったと思っているから。」
「大介さん、ありがとうございます。
うちも今日は楽しみますよ。
だって、遊園地に来たらあの二人絶叫系絶対に乗ってくれないし、こんなに楽しめる遊園地はじめてかもしれません。」
ふたりの想いが重なり、手と手が繋がった一瞬、全ての雑音が消えた。
そして、賑やかな音楽が再び聴こえとき、アトラクションに並ぶ列が進みはじめていたことに気づき、二人は手を繋いだままかけだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます