第4話#夜伽申し込み制度
丘家は久輝家から車で5分程の場所に位置する。
度々子供たちを遊ばせたり、情報の交換、まぁ私たちママの心の潤い目的でなんと最高23時まで集まったりする。
そんな時は、子供全員食事や入浴を済ませ、いつでも寝て良い状態にするのだが……。
一日のルーティーンが似ている私たちは、非常に過ごしやすい。
「この間は23時に起こされた」
介護の仕事を終えたあみちゃんは、色素の薄い髪を乱雑にお団子にして(リラックスタイムということだ)、私達の晩御飯にそぼろうどんを作ってくれている。味見をしてくれながら、眉間に皺を寄せた。
娘達(うちの長女桃と丘家のすみ)は二階のすみの部屋でお人形遊びをして、息子達(丈≪じょう≫と丘家の長男大和≪やまと≫)は特別にテレビゲームを楽しんでいて、私達母の会話には全く興味を示していない。
「自分の都合だけで求めてくるのを、本当にやめてほしい!!
私は、次の日仕事で、あっちは夜勤だから関係ないから求めてきたり……。
それで断ると ―――「「拗ねる!!!」」
共鳴した。
久輝家には9:00までに“申請”をしていただかないと、受付はしていないという話を、あみちゃんには前からしてある。
「予約制度??本当にうらやましい……」
あみちゃんは、そぼろを何度もついばんでいる。
挙動がおかしくなる。それほど嫌気がさしているのだろう。
その行為の所要時間はまだ踏み込んでいないのだが、ちなみに久輝家は30分程度で終わらせていただいている。
私の希望は長くて20分。
なぜこんなに短いか。
「いつさ、子供たちが起きてくるかわからないし、その場面を見せたくないし
……私、子供が遊んでいた部屋でそんな気持ちになれないもん」
私も頬杖し、腹から淀んだ息を吐きだした。
「あ、これが琴≪こと≫ちゃんの分ね。おいしいか分からないけど食べて―」
ダイニングテーブルに器を置き、困り口調で気持ちよく勧めてくれるあみちゃんは私、琴には心地よい。
部屋もお互い取り繕うことを辞めて、洗濯の山は当たり前だ。
ありがとうと、すんなりそれをすすり始めた。
「あの拗ねるのさ、おかしいよね」
私も鬱憤が溜まっていて、口が歪んだ。
「そもそも、なんで妻が受け入れられないかを考えて頂きたいんだよね。
うちも、昨日の話なんだけど……
申請の時間は全然大丈夫だったんだけどね、日曜の夜ってさ、うちは洗濯を夜にするし、翌日の幼稚園の準備、あ……お弁当だし、その準備もあるね
丈はやれるところまで自分でしてくれるけど、ランドセルの中メチャクチャだから、多少チェックはしてあげないとだし
そのあとも、汚されたリビングの整理とかさ……」
あみちゃんも察した。
「「何待ち!?」」のやつだ。お互いげたげた笑った。
「なぜ手伝ってくれないのかね」と、私の前に腰を掛けて、自分の分のそぼろうどんをすすった。
「だよ~~。逃げ〇じのあのシーンだったら子供も居ないし理解出来るけど、私達の場合は違うよね―――。
私すぐに食い掛ったよ。
申し込みしましたー、俺何にもしませんー…はぁ!?って」
あみちゃんは、これを羨む。
「大≪まさる≫さんはさ――頭切れるから、私が何を言っても正当化してくるんだよね。でもそれで言い返したいんだけど、言い返す言葉が見つからなくて結局負けてしまうー!なみだ~!」
「すごいね大さん。性欲やばし。
五択並べるほど、あみちゃんを抱きたいのね」これには否定的な悲鳴だ。
「やっぱりさー、お風呂かな……。
うちさ、お湯がもったいなくて家族全員でお風呂に入るんだけど
本人は子どもにわからない様にしているつもりで、その時に触ってくるんだよね。
おっぱい大好きなんだよ。
それが欲につながる―――??」
私は目をまるめ、おでこの皺に気を配ることが出来なくなった。
「空耳じゃないよね!?一緒なの!?」
「え、結構一緒に入ってるところ居ない??」
ここには私のこだわりがあった。
「入る、入らないという選択より、ただひた
すら私は“嫌”なんだよね」
付き合っている頃には、なんと現お姑さんが一緒に入ればと勧めるので仕方なく入ってはいたが……。
「個人的に、“キャー!エッチ―!”な感覚が強いんだと思うんだ。
一緒に入るってことは、そういう行為をこれからしましょうって伏線の認識だから、裸を見られるのは、“スペシャル”なことだと思ってて……
脱衣所はノックが絶対。入浴を覗くなんてもってのほかだよ!!」
「え~~~~~!!久輝家そうなんだ!」
お互いの違いにびっくりだ。
丘家を参考にこれから一緒に風呂に入りますか?と聞かれたらNOだ。
私は語る
「風呂は一緒にしない方が夜もりあがるんじゃないのかな。
お互いにそうだっりしない?え?どう?
たるんだボディの秘密の部分が何もなくて……あ、うちはだよ?ふふふ
あみちゃん、パパの裸体を見すぎているからそもそもの欲も湧かないとか!!
丘パパは頻繁にみているあみちゃんを抱きたいと思うのは、いいことなんじゃないかなぁ
で!も!時間ね~~~」
眉根を寄せ大きくうなずくあみちゃん。
「大問題よ」
日本人は仕事でもそうだが、打たれ弱い男が増えていると思う。
その生物の性欲を拒否するわけだ。それは拗ねる。
逆だったらどうなのだろう??
「私達が求めたとして、向こうは疲れてて拒否しないのか?ってことよ
するでしょ??よくわかんないよほんと!何なの!?」
あみちゃんは荒ぶれた。
「結局…昔にどこかで見た、“いい時”は置物を向かい合わせにするとか…そういうのがいいってこと??」
私は、もろ手を控えめに挙げてニヤリしたと同時
丘家の二階からドーンと子供がジャンプする音が響き、挙げた手をごめんと、あみちゃんに謝罪した。
「でもさーそれだとさー…永遠に同じ方向を向いたままだよ……うちは」
「育児の方針も、同じ方向向くといいのにね」
本当だ!と、ふたりで大口で声なく笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます