第15話 他人の話2

 保健室で待ち合わせしていたのだろう、その子の友だち(?)である女子生徒がやってくると、彼女は怒りを思いきりぶつけた。

「あんたさぁ、私のこと舐めてんの⁉普通借りたらいつ返すからとか送るよね?LINEって知ってる⁉学校もサボってばっかでさぁ。もうやめれば?あんたなんて関わりたくないから。私の視界に入らないでくれる?」

 面と向かって視界に入るなという人間を初めて見た。これはさすがに保健室の先生も止めに入った。相手の子のメンタル大丈夫だろうか…。この話題にやたら耳を傾けてしまうのは、相手の子が私に似ている気がしたからだろうか。相手の子が泣いている声が聞こえた。そりゃあんな剣幕で言われたら誰でも泣くよな。

「なんで泣くわけ?私が悪者みたいじゃん。私は自分が正しいと思ってるから」

 わあ、すご。修羅場だ。こわ、気配消しとこ。保健室の先生は二人の間に入って中立の立場で頑張っていた。先生に合掌…。

「旅行のお土産とかいらないから。ねえ、なんか言って?」

 相手の子は何も言わない。私もあの状況だったら何も言えないだろうな。

「知らない人は関係ないけど、本気で怒るのは大事に思ってるからだよ」

 保健室の先生が言った。そんなもんなのか…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る