第14話 他人の話1

 私が保健室にいるときだった。ぼんやりと天井を眺めながらぼうっとしていると、女子生徒の声がした。当然知らない人だ。その人は保健室に入ってくるなり、言った。

「あー、イライラする!ほんとマジあいつ何なの⁉」

 どうもだいぶお怒りなようだ。一体何事だろうか。聞く気はなかったが、その子の声が聞こえてきた。

「シャープペン返せっつてるのに1週間も連絡なしで返さないってどういうこと⁉私時間にルーズな人って嫌いなんだよね~」

 随分とイライラした口調だった。

「あいつ出席日数もやばいのに何海外行ってんだよ。学校舐めてんな。先生たち

に合理的配慮もしてもらってるくせにさぁ」

 保健室の先生は同意しながらも必死にたしなめていた。私もここまで怒りの感情を露わにしている人間は初めて見た。その子は友だち(?)に対する溜まりに溜まったストレスを吐き出していた。

「あいつ、さぼってばっかで結局甘えてんだよ。顔も見たくない。私の視界に入らないでほしい」

 何となく、他人事に聞こえなかった。私もよく授業をサボる。私も周りの人間からあんな風に思われてるのだろうか。他人になんて興味ないのに。なんで…。

 

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