第12話 ドッジボール

 はあ…ため息しか出ない。この体育時間余ったからドッジボールしよう精神が全く理解できない。ドッジボールなんかしてないで早く終わればいいのに。どこをどう見たらドッジボールが楽しいのか説明していただきたいレベルだ。人にボール当てて楽しむ非情なゲームの何が楽しいのか。おそらくドッジボールの開発者はいじめっ子かドMのどちらかだな。

 私は幼い頃に、クラスメイトがたったひとりコートの中で敵チームから攻撃を受けているシーンを見て思った。このゲームこそいじめの元凶だろ、と。ましてや高校になってからやるドッジボールなんて横投げありのしかもボール2つだ。ただの生き地獄同然。

 全く、世の中の親はアニメの暴力シーンが良くないとか言う前にドッジボール禁止させろよ。これこそ人にものを投げつける行為の元凶だろうが。

 ドッジボールをやりたい人がスポーツとして楽しむ分には何の問題もない。ただ、ドッジボールというのは運動能力のある者に運動能力のない者が一方的にボールを投げつけられるのは理不尽だと言いたいだけだ。なぜ、手加減もせずに人に向かってボールを投げられるのか。全く意味が分からない。

 そんなことを考えながら、私はタイミングを見計らい、ボールに当たったふりをして外野へと脱出した。

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