第9話 寝る

 私にとって、寝ることとは最大の幸福に等しい。散々すぎる現実から逃げられる最高の場所。だけど、当然悪夢だって見る。猛獣や殺人犯、得体の知れない生物など様々なものに追いかけられてきた。何かから逃げる夢は、私の現実逃避だともちろん分かっているけど。でも、現実に居場所がない分、夢では誰もが主人公になれるという特権がある。夢は現実と違って平等だ。自分の理想とする夢だってその気になれば見ることが出来るんだろう。

 そもそも、たとえ追いかけられていたとしても、現実では空気同然の私に気づいて追いかけてくる生き物がいる、ということ自体夢でしかない。なんて無茶苦茶な理論をこじつけてでも私は夢の世界に逃げたい。何よりも、現実よりはよっぽどましだと思うから。

 だから私は基本暇になればお昼寝タイムに入る。授業中は寝ないが、休日の午後にベットでごろごろしながらうたた寝することが私にとっての何よりの幸福。まあ、残念なのは週休二日ってとこかな。私に訪れる至福のひと時は2日間の数時間のみ。あー、せめて週休三日制にならないかなぁ。

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