第3話 家にて

 玄関の前。私は口角を上げた。

「ただいまー」

「おかえりー」

 親の返事が聞こえた。私は親とたわいもない会話をした後、二階の自室に向かった。部屋に入った瞬間、私は無表情に戻る。意味わからない。「学校どうだった?」この言葉が何よりも面倒だ。全く、本音で話せる人なんて一人もいない。一人になりたくてもなれない。学校と家の行き来、退屈でならない。スマホの電源を入れる。Twitterを開くと、「親いらねえ」「マジ死ね」なんて言葉が目には入った。別に親に消えてほしいわけじゃない。むしろ逆に私が消えたい。親がいないと自分は育たないのだから親には感謝してる。自分にしてもらったことに感謝できない人間は消えればいいのに…。私は冷ややかな目線でTwitterを見た。まあ、私が言えた立場じゃないけど。くだらない、私はスマホの電源を落とした。

「さて、勉強しますか」

 私は、独り言をつぶやくとカバンから教科書とノートを取り出した。勉強している間は何も考えずに済む。私は真剣に教科書を読み始めた。

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