第32話 幻聴の声② (by西川無華)
「そう。だから早く…」
「その彼が自分ではない別の女性とキスしていた。本当に彼は君だけを愛してるのかな?」
「佐阿くんは私の事を好きと言ってくれた」
「ずるいと感じたんだ。それと嫉妬に裏切られたとも感じた」
私の心の中が完全に読まれている。
「それに自分では感じないほどにだが、彼を独占したい。私だけのものにしたいと思っているね」
「そんな事考えてない」
「言っただろ。自分では感じないが思っているんだって。また、手伝ってあげるよ」
声が遠のいて行き私の意識が薄れていく。
「彼を君だけのものにするよ」
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