第32話 幻聴の声① (by西川無華)

 私は何もないくらい空間で目を覚ました。

 覚ましたとう言う表現をしたが実際は夢の中にいる様なふわふわした感覚がある。

 

 「ここ、どこだろう?」

 

 確か私は…。

 私は思い出す。

 鈴と佐阿くんがキスをしていた。

 その瞬間に視界が真っ暗になって気がついたら今の状況になっている。

 

 …いや、違う。私は前にもここにきたことがある。


 ここは。


 「やぁ。久しぶりだね」

 

 私の幻聴の声がいる場所。

 

 「あんたが私をここに連れてきたの?」


 「心外だね。君の為を思っての事なのになんで怒ってるの?」


 「早くここから出してよ」

 

 きっと佐阿くんが私の事を—。


 「心配してくれてる」


 心の中で思っていた事を答えられた。

 

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