第11話 応援

 「佐阿さん…いや、お義兄にいさんと呼ばしてください」


 「流石にやめてくれ」


 「分かりました。じゃあ、兄さんと呼ばして頂きます」


 「はぁ。まぁ、お義兄にいさんよりはましか」


 西川さんがお見舞いに来た翌日。

 昨日はしっかりお礼を言えなかったと憲がお菓子を持って俺の病室にやってきた。

 

 「兄さんのおかげでお姉ちゃんは僕と久しぶりに喋ってくれました。ありがとうございます」


 「…それはよかった」


 「最も内容が兄さん関係じゃないとそこまで喋ってくれませんが。僕は嬉しいです」

 

 「そ、そうなのか」


 何故だか少し照れてしまう。俺が話題の時だけと言うところに。


 「ですが、まだ僕とだけで母とは全く喋っていません」


 「そうなのか?ていうか西川さんのお母さんはこの事何も言っていないのか?」


 「はい。全くの無関心でした。でもこのままいけば、きっと母とも喋ってくれる気がします。だから、兄さん、お姉ちゃんを大切にお願いします」


 そう言って俺に頭を下げる憲。


 「言われなくても大事にするよ」


 「やっぱり、兄さんは兄さんですね。そんなキザなセリフを言えるなんて」


 「う、うるさい!」

 

 「僕も応援しているんで頑張って下さい」


 最後にそう言い残し病室を出て行った憲。

 この応援の意味を俺は深く考えていなかった。

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