第12話 お弁当①

 …どうしてこうなった?

 俺の横で口を開けて目を瞑っている美少女。西川さんだ。

 こうなったのは少し前の出来事のせい…いや、間違えた。憲のせいだ。


20分前。

 俺が病院から退院して3日経った。

 みんなには階段から足を滑らして入院になったと説明してある。

 これは、西川さんがみんなには何も言われたくないみたいだったのでそういう事にしてもらえないか?とお願いした結果だ。

 それはいいとして、この3日間、何も進展がなかった。

 進展とはもちろん西川さんと俺のお付き合いの進展だ。

 

 キンコーンカンコーンキンコー…


 「よし、授業はここまで」

 

 昼飯の時間だ。

 俺は鞄から弁当を取り出して…。


 「(…ん?なんか今日の弁当箱やけに軽いな)」


 今日のお弁当の当番は紗季。

 そう言えば今朝、紗季が「お弁当鞄に入れておくね」って。

 弁当箱を開けてびっくり、中は紙が1枚だけ入っているだけ。

 紙取り出し書かれてる文字を読む。


 『彼女が出来たんだってね。今日は彼女さんがお弁当を持ってくるからお弁当は要らないって彼女さんの弟さんが言っていたから彼女さんにちゃんとお礼を言ってね。後、彼女さんが恥ずかしいだろうから屋上で待ってくれているらしいよ』


 …何これ普通に嬉しい。

 いつのまにか教室から姿を消した西川さんの後を追うようにして俺は屋上に向かった。

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