第8話 勇気ある行動④

 時を遡って西川さんが誘拐された直後。

 俺は近くの家のインターホンを連打して住民に話をして警察を呼ぶ様にお願いした。それと同時に自転車を貸してくれと頼んだ。

 

 「相手は車なんだろう。追いつける訳がない」


 「それでも、追いかけたいんです」


 「…分かった。頑張れよ」


 俺は必死に自転車のべダルを踏んだ。

 そして、賭けに出た。

 この先、二つの分かれ道がある。真っ直ぐ行けば交番がある。

 なら、誘拐犯は交番を避けて通る為に曲がる。

 賭けは当たりだった。キツイ坂道を全力で上がった後、白いバンが止まっていた。

 

 バン!

 

 自転車で体当たりした。

 男が出てきて弁償しろとか叫んでいるが無視だ。


 「はぁはぁはぁ。やっと追いついた誘拐犯!」


 「…はっ?俺達は別にたまたまここに止まってだけで…」


 「俺は、見たぞ。車に引きずり込む瞬間を」


 「…マジかよ。目撃されてんじゃないか!」


 どうやら、誘拐犯もシラを切ることは出来ないと思った様だ。

 

 「今なら何も知らない見なかった事にするなら家に帰れるぞ」


 「…警察に連絡した。もうすぐここに来るから諦めろ」


 「なら、今すぐその通報は悪戯でしたと連絡を入れ…ぶへぇ…」


 俺は誘拐犯を殴った。

 男が出てきた扉の隙間に横たわっている西川さんが見えていても立ってもいられなくなった。


 「…いてぇ。もう、お前生きて帰れると思うなよ」

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