第8話 勇気ある行動⑤

 車から一人男が降りてきて二対一。

 しかも、一人はナイフをこちらに向けている。

 圧倒的に不利な状況である。

 たまたま、足元にあった石拾う。

 

 「その石で勝てると思って…」


 ゴン!

 

 嘲笑うかの様に石を馬鹿にしていた男に向かって石を投げつけた。

 鈍い音と共に男は倒れた。

 

 「石は人類で初の武器にだって使われた最初の兵器だ」


 よく兄はそう言っていた。

 その事を思い出して投げつけたのだがなかなか良かった。

 ただ、死んでいないか不安だ。

 もう石を投げるのはやめよう。


 「この野郎!」

 

 男が詰め寄ってくるが別に何かを装備している訳だはないので軽く背負い投げをしてやった。

 妹と二人暮らしだから、もしもの為にと兄に仕込まれたのが役に立つ時が来るとは思っていなかった。兄に今度お礼を言おう。


 ブルルルゥゥ…。


 車にエンジンがかかり動き出そうとする。

 俺はそうは行かないとばかりに車の前に立った。

 ドン!という衝撃と少しの浮遊間の後、全身に痛みで起き上がれなかった。

 

 「はは、ざまあみろ」

 

 俺に近づいてくる男。

 

 「お、お前のせいでボンネットまで凹んだじゃないか」

 

 頭を踏みつけながら激怒する。

 その足を掴み相手の体を上るように立ち上がった。


 「…ひっ。なんなんだよ。お前。あの女の彼氏か?」


 「違う」


 「じゃあ。どうして、そこまでするんだよ」

 

 「好きだから」


 「惚れてのかよ」


 「そうだ…よ!」

 

 背負い投げが決まったのと同時に意識がなくなってしまった。

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