第8話 勇気ある行動③ (by西川無華)

 少し荒れた道を通った後に車が止まった。

 

 「この辺でいいか?」


 「あぁ、この山道なんてほとんど車は通らないし、通ったとしても車の中までは分からないだろう」


 「さぁ、お楽しみの時間がきたぞ」


 ビリビリと服が破かれていく。

 

 「はい、下着姿になりました」

 

 「どうする?手足はそのままにしておくとして目隠しと口のガムテープは外すか?」


 「いや、まだつけたままでいいよ。叫ばれたりしたら厄介だし目隠しはしてた方が燃えるだろう」


 「そうか?俺は燃えないが」


 男達が胸糞悪い会話をしている。

 こんな状況だったが私は意外にも落ち着いていた。

 もう、助かる可能性がゼロだったからかもしれない。

 私の事を気にしてくれている人なんて…。

 一人もいない。そう思ったが一人いた。

 いきなり私に告白してきた彼が。

 せっかくみんなが私の事を相手にしなくなり、静かに過ごせると思ったのに彼は私に話しかけてきた。

 無視していたらその内にみんなと同じ様に私の事を相手にしなくなると思っていたがいきなり告白された。

 アレには流石の私も動揺してしまった。そして、彼に苦手意識を持つ様になった。

 なんでだろう。そんな苦手意識を持っているはずの彼に……。

 

 「(……助けて……)」


 バン!


 車に何かがぶつかり車が少し揺れた。

 ドアを開けて外に出る。


 「お前になんて事するんだ。車に凹みができたじゃねぇか。弁償だからな!」


 外で怒鳴っている。


 「…はぁはぁはぁ。やっと追いついた。この誘拐犯が!」


 この声は彼の声だ。

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