第1話 入学初日に一目惚れ②

 「…という訳だ。明日から通常授業だからな!それじゃあ、最後に一人ずつ自己紹介をして行こうか。顔見知りがほとんどだと思うが、遠くから来ている者もいるからしっかり自己紹介するんだぞ」


 先生は俺を見て言った。多分だが、俺だけが遠くから来ていてそれを配慮して言ってくれたのであろう。

 一人ずつ挨拶をしていく。

 俺の順番に回ってきた。


 「えっと。坂山さかやま 佐阿さくまと言います。の方から来ました」


 途中までみんな俺にそこまでの関心はないような感じだったのだが最後に埼玉と言った瞬間教室がざわめいた。


 「お前、都会から来たのか?」


 「ねえねえ。今度東京の方案内してくれない」


 「借金取りから逃げてきたの?」


 一斉にみんなが質問をしてくる。


 「はいはい。佐阿くん答えてあげて」


 先生がそう言ってきたが、俺は聖徳太子ではないのでこんなに同時に言われた言葉を聞き分けることは無理だ。

 戸惑っていると、先生は笑って「すまん、すまん。冗談だ」といってきた。


 「時間もあと少ししかないからな。聞きたいことがある奴は後で自分から聞きにいきな。はい。次の子」


 みんなが自己紹介を終えていきいよいよ最後。

 最後はあの白い彼女だった。


 キンコーンカンコーン


 最後の子が自己紹介する前にチャイムがなってしまった。

 この場合、最後の子が自己紹介をするまで延長するものだと思った。

  

「おっ。ちょうどみんな自己紹介終わってチャイムがなったな。それじゃあ気をつけて帰るんだぞ」

 

 ………えっ?!最後の子の自己紹介はまだだったはずなのに先生はみんな終わったといった。

 俺が聞いてなかった?いや、しっかり聞こうと俺はしていた。

 こうなったら直接いこう…としたのだったがせんせいの終了の合図と共にクラスのみんなが俺の席に集まってきた。その間に彼女は帰ってしまった。

 教師を含め、クラスのみんなはまるで彼女が見えていない。

 もしかして、俺にだけ見える幽霊なのではないのかと疑ってしまった。

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