一章 告白まで

第1話 入学初日に一目惚れ①

 「ほら、さくまにぃ!朝だよ」


 妹の紗季さきが俺の布団を剥ぎ取る。

 時刻は午前6時30分。

 まだ、朝早い時間。


 「…まだ少し…」


 布団を取り返して籠る俺。


 「もう、さくまにぃ。だから私言ったよね。家から近場の高校にしたらって」


 ………っは!そうだった。

 俺は布団を飛ばして飛び起きた。

 ここから高校までは電車を使って1時間ちょっと時間がかかる。


 「みんなと一緒に近くの高校へ…」


 「紗季。その話しない」


 「…わかったよ。早く準備しないと遅れるからね」


 そう言い残し紗季は俺の部屋から出て行った。


 

 「次は縦木山〜次は縦木山〜」


 電車に揺られて1時間ちょっと俺は高校の元よりの駅に着いた。

 俺が今日から通う事になる林山ばやしやま高校。

 知り合いは誰一人こんな所受験していない。

 中学時代トラウマで引き籠っていた俺だったが、流石に高校を出ていとかないとやばいと思い知り合いがいないであろうこの高校を選んだ。

 長い校長先生の話や、いろいろな説明が終わって教室に着いた。

 みんな既に何人かのグループに分かれて話しをしている。

 このあたりは家より田んぼや畑の方が多い。簡単に言ったら「ど」が付くほどど田舎だ。

 だから、みんなほぼ幼なじみみたいなもので立ち位置がもう出来てしまっていた。

 まぁ。だからと言ってどうという事はないんだが、そもそも俺はもう人はあまり関わりたく…。

 そんな考えは一瞬にして消えた。

 クラスのみんなが思い思いに話す教室の中、彼女は一人席に着いて本を読んでいた。

 長く白い髪に雪みたいに白い肌。そして、宝石のルビーの様に綺麗な赤い瞳だった。

 外国人かと思ったが顔は日本顔の美人だった。

 俺は彼女と話がしたくなった。

 彼女に近づき声をかけ…。


 「ほら、お前らチャイムなったのが聞こえなかったか?前に自分の名前の席が書かれている紙が貼ってあるだろう。それ通りに早く座りなさい!」


 話かける事は出来なかった。

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