7-10

「………」



何だったんだ、今の。

私、将にいと何した?

とんでもなくヤバいことしたんじゃ…。

ああ、思い出すだけで倒れそう。


いま何時かな…、ああ、もう二時だ。

文化祭は朝集合したらすぐに放課。

仕事がある人や遊びたい人は文化祭に残り、

帰りたい人は帰れる。

初日は四時までだからまだ遊べるけど、

なんだか今日は疲れてしまった。

何より、このまま皆のところに平静を保って戻れる自信がなかった。



「…もうシフト無いし、帰ろっかな」



智也にメールを打ってから

とぼとぼ立ち上がり、屋上を降りた。



┉┉┉┉┉┉┉┉┉



「…というわけで、明日もよろしくお願いします」

「「「はい」」」

「…冴島先生、大丈夫ですか?」

「え、あ、はい、すみません」

「それではお疲れ様でした」

「「「「お疲れ様でした」」」」



さっきので俺は、期待が確信に変わってしまった。

でもダメだ。きちんと奏美に話すまでは。

それなのに俺って奴は、耐えきれずさっきからやらかし続けて…。

ばっか野郎だな、本当に!

我慢が効かなくなってしまう自分に、ほんと腹が立つ。



「将ちゃん、まだ残る?」

「ああ…、クラスの方手伝ってきます」

「そっか、じゃあお疲れ〜」

「お疲れ様です」



俊先輩は今年クラス持ってないのか。

美術部の展示も部員に任せておけば大丈夫らしく、

あっさり帰っていった。


俺はクラスに行ってくるか。



「あ、先生!」

「お疲れ〜、どう?」

「売れ行き好調すぎて、もう店閉めました!」

「まじかっ」

「ちょうど片付け終わって解散するとこです」

「そっか、じゃあお疲れ様」

「「「お疲れ様でした〜」」」



ん?奏美いないな。



「奏美なら、先帰りましたよ」

「えっ?」



横からスっと話しかけてきたのは、エスパー・佳月だ。



「そ、そう」

「売上とかは全部智也が纏めてくれてるんで、確認はそっちに」

「おお、さんきゅ」



「…ったく、分かりやす過ぎんだよ、もう」



┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉



将にいが帰ったら、どんな顔で会えばいいんだろう。

あんなことになって、もうには戻れないよ…。

一般的な恋だったら、両想いだって喜べる。

でも素直に嬉しいと思えないのは、やっぱり私たちが兄妹だから。



「妹になんか、生まれなきゃよかった」



小学生の男の子みたいに、道端の石ころを蹴る。

蹴った石はだいぶ飛んでいって、

向こうから来た黒い大きな車に当たってしまった。



「あっ」



傷が付いちゃったかもしれない。

車は私の横でピッタリ停まった。



「あ、あの、ごめんなs…!?!?」



視界が無くなり、身体を押さえつけられたと思ったら

口元に何か当てられて、意識が遠のいていった。





───────第7話 fin──






 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

第7話、ありがとうございました!

甘々なシーンからまさかの展開😱

奏美はどうなってしまうのか…

二人の運命や如何に!!

8話もよろしくお願いします🙇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る