5-3

生徒会中心に会議が進む。


中間試験が終わったら、文化祭準備に入るようだ。

去年と同じだな。



「次の学級委員会は、中間試験最終日の放課後になります」

「これで第二回学級委員会を終わります、ありがとうございました」



「あ〜!終わったー!」

「終わったね〜」

「でも俺これから部活だ…」

「頑張って〜」

「奏美はいいよなぁ帰宅部で」

「佳月と帰宅部ほんとに作ろっかな」

「ぜったい申請通んねえ」

「意外とイけるかもよ?」

「やめて!佳月と奏美が二人っきり同じ部活なんて無理!!」

「何また言ってんのよ」


「俺ほんとに嫌だかんね?」

「え?」



廊下で突然立ち止まって、何を言い出すかと思ったら。

ああまたいつものあれね。

呑気に受け流そうと思っていた。



「まーたそうやって笑 冗談もいい加減に…」

「冗談じゃないぞ」

「はい?」

「俺、割とガチで奏美のこt)))ガラッ


「すっかり将ちゃん慣れてきたね」

「そんなことないっすよ」

「「…あれ?」」



教室から楽しそうに将にいと河野先生が現れる。

声に出さず「あっ」と言って、智也はそのまま立ち去ってしまった。



「ちょっ、智也!!」

「奏美ちゃん、どうしたの?」

「え、ああいや…」

「次は三本か?」

「え?な、何言ってんの…」

「何の話?どういうこと??」



河野先生だけ全くついて来れていない。



「奏美さん」

「え?ん?はいっ」

「ちょっと残れる?」

「あ…はい、大丈夫です」

「じゃあクラスんとこで待ってて」

「分かりました…」



すごく訳が分からない、というような顔をしている河野先生。

大丈夫です先生、私も訳が分かりません。



「先輩は普通に戻っててください」

「分かりました…」




私は二年一組の教室に向かった。

何だろう。もう帰るまで我慢ならないとか?

そんなこと言われたって、

私もよく分かんないんだから何も説明できないよ。



「お待たせ」

「いえ…」



鍵だけを持って将にいが戻ってきた。

ガチャリと回し開ける。

私を先に入れて、あとから将にいも入室。

将にいの背中でカチャっと音がした。



「な、なに?」

「いや…大丈夫かなぁって思って」

「大丈夫って、何が?」

「…友達関係?」

「えっ?」


「いやほら、去年の文化祭んとき酷かったから」

「ああ〜…」

「田宮とのこともあるし、さっきは三本も…」

「あれはほんとに分からない、何を言いたかったのか…」

「言いかけて行っちゃったの?」

「たぶん、将にい達が来たから…」

「そうか…、でも俺の推測が正しければ多分…」

「え!たぶん?多分、何?」

「…いや、言わないでおく」

「なんでよー」



「その代わり、別案件で一つ」

「ん?」

「俺たちのことなんだけど…」

「私たちのこと?」


まさか…!?


「バレた!?バレちゃった!?」

「いや、それは大丈夫」

「あ、よかった…」

「その、そういうことじゃなくて…」

「なに?」



なかなか言ってくれない。

どうしたんだろう、急に。

そんなに言いづらい事なのかな。



「それ、今すぐじゃなきゃダメな感じ?」

「え?」

「急ぎじゃないなら、言えそうな時に教えて?」

「ああ、、うん、分かった」

「待ってるね」



どんなことか全く想像はつかない。

むしろ想像すると、どうしてもあらぬ方向に行ってしまう。

なかなか言えないほど大事なことなら、

家でゆっくり話した方がいいのに。

どうして教室で、学校で話そうと思ったのか。


将にいは、ときどき謎だ。

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