5-2

「このあと学級委員は集合で〜」

「なぬ…」



最悪だ…。



「せんせーい俺きょう部活あるんですけd」

「委員会優先でーす」

「ひえぇ」



智也の必死の対抗も、一瞬で散った。



「ま、奏美と居られるしいっか〜」

「ちょっと!」



大きい声でそういうこと言わないでよ…。

将にいが目の前で聞いてるじゃん…。



「連絡は以上!あと何かある人〜?」

『『『ありませーん』』』

「じゃあ終わり!」

『『『ありがとうございました』』』



「はあ…」



学級委員ってことは…

将にいも、来るんだよね。



「どした?奏美」

「えっ?」

「体調悪いなら俺言っとくから、帰った方がいいぞ?」

「ああ、大丈夫、ありがと」



本当に私は幸せ者だ。

周りに優しい人がこんなに居る。

将にいだって私を…。



「あっ」

「ん?」



好きな人と学校でも家でも会えるって…

もうそれって、とんでもなく幸せなことなんじゃなかろうか…?



「めっちゃ幸せ者じゃん私…」

「…どした?今世紀最大の発見をした的な顔して」

「私史上最大の発見だよ…」

「ええ?」



┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉┉



「…というわけで、学級委員の皆さんにはクラス展示準備の指揮をお願いします」


「面倒だなぁ」

「奏美は去年もやってるもんね」

「あのときは最悪だった…」



学級委員になってしまったからには、責任持ってやりたい。

そんな私の一生懸命が、空回りした一年生のときのクラス展示準備。


まず何をやるか決める時点でゴタゴタ。

決まってからも反対派の女子中心にゴタゴタ。

仕事しない人がいるだの何だのゴタゴタ。

クラTが届かなくてゴタゴタ。


正直、勉強しか出来ない人間の集まりなんだと感じた。

それでこそ一組、これだから一組。

そういう感じが拭えなかった。

担任もすっかり呆れていたし、私はとっくに力尽きていた。

もう一人の学級委員(男子)も全く仕事をしないので、

ほぼほぼ私ひとりで教室と職員室と生徒会室を行き来していた。


そんなこんなで、とうとう私は体調を崩し倒れた。



「そんなに大変なの?」

「ん…うん…」

「友達に頼ればいいのに」

「友達…?そんなの居ないよ」

「え?」



わざわざ学校休んでまで私の看病をしてくれたのは、

もちろん将にいだった。

あの日のことは、今でもよく覚えている。



「友達、まだ作れてないの?」

「別に居なくてもいいよ…」

「ダメだろっ」

「大丈夫だって」

「でも…そんなに辛いんじゃ…」

「平気だって、私が仕事の割り振り下手だっただけだから」


「奏美いなかったら、今ごろクラスどうなってんだろうな」

「…知らない」



もしかしたら、あの時かもしれない。

将にいが私の学校生活を異常なまでに心配し始めたのは。


翌日行ったら、私の代わりに晴香と智也と佳月が

クラスで動いてくれていた。

それがきっかけで仲良くなった。



「奏美、なんでも全部ひとりでやっちゃうんだもんな」

「だって去年は…、まだ考えが子どもだったから」

「人に頼るって大事だよな」

「まあ正直に言うと、信用出来なかったっていうのもある」

「え、まじ?」

「勉強しか出来ないクラスなんだなって思ってた」

「俺は全然勉強できないよ?」

「一組に居るのにそういうこと言ってると誰かに刺されるよ」

「こわっ!」



でも今は違う。

こうして信じられる友達が居るし、

クラスメイトとも全員じゃないけど関係は良好。

未だ一部の女子に何か言われてるけど、

そんなの気にならないくらい、楽しいし幸せだ。


だって、学校でもすぐ側に…



「何か分からないことある〜?」



将にいが居るんだもん。

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