4-7

「えーっ!?芦野も知らないの!?」

「言われてみれば知らないよね…」

「全滅じゃん…」

「佳月は家族ぐるみの付き合いなんじゃないの?知らない方が不思議だよ」

「そうだよ、てっきり知ってると思ってたー」

「家族ぐるみって言っても…」



そういえば、親が挨拶してんのはウチばっかりで、奏美の親に会ったことないな。

ますます怪しくなってきて、それと同時に住所という壁が迫ってくる。



「なあーどうすんだよおー佳月〜」

「どうするって…」

「もうっ、さっきから!」

「ほんとだよっ」

「じゃあ一緒に考えてくれよ」

「「うーん…」」

「あっ!はいっ」

「はい、芦野晴香さん」

「私のに調査を依頼する!」


じいや、というのは芦野の執事のことなんだろうな。

コイツん家、どんだけ金持ちなんだ…。


「今日中に見つかるのか?」

「それは…じいや次第かなっ)ニコ」

「なんだよそれ…」



さすがにあの担任に家の場所を聞いても、教えてはくれないだろうな。

本人に電話したところでなあ…。



「電話すりゃ良くね?」

「おおっ、そーだよ!電話でいいじゃん」

「リモートお見舞い?ってやつ!」

「智也さっすが〜」

「だろ〜」



リモートか…。その手があった。

ビデオ通話なら部屋の様子が分かるし、もしかしたら…。

いやいや。それじゃまるでストーカーみたいだ。

俺はあくまで、奏美の様子が知りたいだけだ。



「どう?佳月」

「…それで行こう」

「「おおーっ!」」

「問題は」

「ん?」

「何時に掛けるか、だ」

「「ああ〜…」」



お前らは双子かっ。



「夜ご飯の時間は普通に迷惑でしょ、かと言って夜遅いのも迷惑でしょ」

「晴香は奏美と電話すんの?」

「うん、たまーにね、言うて夜かなぁ」

「どんな感じなのっ」

「どんなって…自分の部屋でフツーに電話してる感じだと思うけど」

「どうしたんだよ佳月」

「えっ?」

「さっきから思ってたけど、分かりやすく変だぞ」

「うん、変」



変って言われても…、そりゃおかしくもなる。



「それより芦野、奏美の親って会ったことある?」

「親?…あーそういえば……」

「そういえば?」

「…見たことない」

「やっぱりか」

「俺もない」

「授業参観とかもさ、次の日に奏美が書類貰ってるよね」

「もしかして…親が居ないとか?」

「じゃあ、奏美は一人暮らしってこと!?」

「芦野っ、声がデカいっ!」

「あっごめん…」


「なあ、その辺、二人も気にならない?」

「気になるか気にならないかって聞かれると…」

「「気になる」」

「今日のビデオ通話で、探り入れてみない?」

「いいねっ」

「でも、どうしても家に上げないってことは、奏美にとっては触れられたくないことなのかも……」

「確かに…」


普通はそうだよな。

二人を巻き込むのは厳しそうか…。


「とりあえず、リモートお見舞いはやるでしょ?」

「それはやるっ」

「俺もそれは賛成」

「じゃあ、放課後そういうことで」

「おう…あっ、次の授業の準備しなきゃ」

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