2-6
鳥の鳴き声で目が覚める。
昨日の夜より、身体はだいぶ軽くなった。
何か気配がして、隣を見ると…。
「えっ」
将にいが眠っていた。
寝顔が…かわいい……。
それより、起こさないと。
時計を見るともう六時。まずい、起こさないと。
「将にい!将にい起きて!コホコホっ」
「ん…かなみぃ…」
「ちょっ」
「んふふ、おはようー」
「もうなに寝ぼけてるの、もう六時半!」
「ろく、じ、はん?……ええっ!?六時半!?」
はあ、起きた。
「奏美、具合は?大丈夫なの?」
「うん、とりあえず大丈夫」
「明日が日曜でよかった」
「今日はひとまず行くだけ行くよ」
「わかった、ゴホンっ」
「うっそ、風邪移った?」
「いやぁ?」
二人で息苦しそうに咳き込む。
カンペキ移しちゃったな…。将にいごめん!
「将にいは、これ持ってって!」
「ああ、ありがと!」
「ちゃんと食べてよ!」
「うん、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃーい」
作り置きしていたサンドウィッチを持たせた。
よかった、さっそく役に立ったわ…。
シャワー浴びないと…。あっ、洗濯干さなきゃ。
ああもう帰ってきてからでいいや!
今日が午前授業なら良かったのに…。
私も七時半ごろ、家を出た。
『おはよー、電車乗った?』
智也からのメッセージ。
『ごめん、、今日は一本遅れそう』
『わかった、待ってるね〜』
なんだかんだ良い奴。
プシュー
「あ、奏美」
「佳月」
「珍しいね、寝坊?」
「うん、ちょっとね」
「へえー」
智也はさておき、佳月は鋭いから要注意だ。
「マスクして、どうしたの?風邪?」
「あ、うん、そうなの、昨日お風呂浸かりすぎちゃって」
「そっか、マスク足りなくなったら言って」
「ありがとう」
マスク常備してるのね…私より女子力高い。
「智也!ごめんね待たせて」
「全っ然へーき!…ってあれ?」
「おはようございますー」
「佳月…お前……俺の奏美に手ぇ出しやがって…」
「何言ってるんですか?」
「えっ、違うの?」
「「違うに決まってるでしょ」」
「そんな〜」
「かーなーみーちゃんっ!」
「わっ」
「あ、おバカな先輩が来たー」
「ほんとだほんとだー」
「「わー」」
「なんでそんな棒読みなのっ」
「葉持先輩の真似っすよ」
「あの演劇はひどかった…」
「やめてー!」
「先輩、おはようございます」
「へへ、奏美ちゃんおはよ〜」
「「うわ…」」
突然登場したこの人は、高三バスケ部の
私を好いているらしく、会う度にかわいく振る舞われる。佳月や智也からはいじられっぱなしで、かなり天然。そしてやっぱりモテる。
「もう、早く学校行ってくださいよ、、うるさいから」
「なに?今なんて言った??」
「なにも?」
「うそつけ!」
「ほら先輩、もう時間ですよ?」
「えっ…奏美ちゃんが言うなら……」
「「「(単純だわ)」」」
「…なにその顔」
「え?あ、今日もカッコいいなって思って」
「えへへ、そう?」
「(…奏美さ、完全に先輩の扱い慣れてるよな)」
「(慣れてるってよりは、もう手懐けてる)」
「なに?」
「「なんでもないです」」
確かに先輩はカッコいいし、スポーツ万能で面白くて優しい。
先輩としては好きだけど…恋愛感情は湧いてこない。
そもそも、恋愛感情が何なのか、よく分かってないんだけど…。
たぶん、そういう意味では好きじゃないし、好きにはなれないと思う。
「奏美ー?」
「えっ、あ、ごめん!」
「ボーっとしてたけど大丈夫?」
「やっぱまだ熱があるんじゃ…」
「大丈夫!大丈夫だから!早く行こ!」
ずんずん二人の背中を押した。
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