1章 乙女ゲームの世界に生まれて
第1話 妹の頭は石並み
約1時間前からの話しをしよう。
俺こと、山田太郎は、目が覚めたらベットの上だった。
頭が痛い…手で触れてみるとぐるぐると包帯が巻かれていた。
「いってぇ、アイツ頭硬すぎだろ」
あいつとは妹のことである。
さきほど俺はいつものように乙女ゲームについての話を延々と聞かされていた。
なんとか様がかっこいいやら、ライバルの嬢がムカつくのやら…本当にうんざりだ。
俺の妹は乙女ゲー好き廃課金者である。
そんなオタクの妹はゲーム状況を兄である俺に語ってくるのだが、正直聞き飽きてしまっていた。
妹が今ハマってるゲームは「プリンシア」と言うらしい。
ふと、正式名称が知りたくなった。
そこで妹に聞いてしまったのだ。なんだっけっと
後悔したのは、正式名称「プリンセス風シンデレラアクションストーリー」と言う意味不明な名前を聞いてダサっと思わず言ってしまった後である。
妹の顔が鬼のようになり頭突きされた。
そして今の現状と言うわけだ。
ん?まて、この部屋はどこだ?
部屋を見渡してみるとベットが広くレースカーテンがついている。
「天蓋…? だっけ?」
それは妹が父に欲しいと頼んでいた、天蓋付きベットというものだった。
ふんわりとした白レースに、光沢のある重めの青との二重構造で、ふわふわかつキリッとしてるような印象のそれは人が3人は眠れそうなほど大きいベットだった。
え、あいつ買ったのか…?
でもこの広さは?家にこんなでかいの入ったっけ?
不思議に思いベットから出ようとして自分の手が小さいことに気がついた。
「ナニコレ」
どうなってるの俺!?
鏡どこ鏡とベットから降りると、手だけではなく、足も小さくなっていた。
サラッとした髪の毛が足元まで落ちる。
色は…白!? 頭突きショックで白髪に!?
涙目でもう一度髪をよく見ると…少し紫がかった銀髪だとわかり、ホッとする。この年で白髪は悲しいからだ。
ん?まてよ、小さい手足、知らない髪色。
まさか…異世界転生?
それ系の小説が好きな俺はワクワクした。
山田太郎なんて名前に生まれたせいか、非凡に憧れがある。
いや~まさかねー?でもほらこういうのってチートとかねー?
と、えへえへ笑いながら妄想にひたりつつも、鏡を探す。
どんなイケメンになっているか確認するためだ。
誰の部屋かわかんないけど物色することを許してくださいと思いつつ歩き回ると姿見を見つけた。
これまた大きな鏡で、白を貴重としておりピンク色の花や金の飾りのある豪華な鏡である。
姫でも住んでるのかここはと思いつつ自分の姿を見て俺は……叫んだ。
バタバタとした足音が聞こえ部屋の扉がバーンと音を立て開けられる。
あぁぁ…思い出した。
「「リディア」」
バーンと空いた扉から2人の男女が叫ぶ。
「…お父様、お母様」
そう、俺は異世界転生ではなく、妹の好きな乙女ゲーム『プリンシア』の世界に転生したのだ。それも、
俺が悪役令嬢になったと思ったのは鏡の中の少女にある。
鏡の中の少女は紫がかった銀髪にツンとしたつり目をしており、目の中は上が紫、下が青のグラデーションの猫目だった。
まだ幼いので可愛いが、見覚えがある感じと『リディア』という名前。
間違いなく、妹がこの子が邪魔でムカつくのっと言って見せてきた悪役令嬢リディア・シルヴィアの姿だった。
ちょっと泣きそうである。
しかし、泣いている場合ではない。
なぜなら先ほど扉を開けて入ってきた2人が泣きながら頬ずりをしているからである。
「起きて大丈夫なのか?」
「噴水の石に頭を打ったのよ」
「「無事でよかった」」
と言い頬ずりをする両親をひとまずグイグイっと追い出す。頭の整理をしたい。
父、母からはえっ?なんで追い出すんだい?やら、リディアちゃんどうしたの?やら色々言われたが、全部無視して扉を閉めた。
まず、俺は山田太郎。もちろん男である。
しかしながら、今のこの姿は…もちろん女の子である。
女の子になったというだけでもすごく嫌なのだが、何よりこの子がほんとにあのリディアなら俺はこの先…
なぜなら乙女ゲーム『プリンシア』はその名の通り、アクション要素があるからだ。
軽く思い出したのをまとめると、えーっとヒロインちゃんはこの世界に異世界というか日本から来る日本人。ここでどう生きようか迷ってると、イケメンに拾われ、聖女ではとなる。
魔法の勉強のため学校に行く事になり、そこで恋をする的な感じなのであるが、何故かモンスターと戦うという謎展開が多々あり、レベル上げしてなければ好きな相手と死ぬエンドがあるのだ。
ちなみにレベル上げしすぎると冒険者エンドになるらしい。
もちろん両方共バットエンド。
ハッピーエンドは、適度に強いかつ、好きな相手よりは弱いという調整をしないといけないらしい。
そして、このリディアは婚約破棄等のショックからモンスター化…だったっけ?とりあえずラスボスみたいになり、最後は主人公を殺そうとしたところを主人公の好きな人に討ち滅ぼされる。
ハーレムエンドだとそりゃもうリンチ並に殺られる。
その滅ぼされる令嬢=今の俺。
え、人生つんだぽくありませんか?
どうやってモンスター化したかとか微妙に覚えてないし…どうしよう。
そこまで悩んところで鍵を閉めたせいで扉がバンバン叩かれミシミシと音を立てていることに気がついた。
あ、やべ父、母追い出した後、鍵閉めたんだった……。
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