婚約破棄するというのなら、これは要りませんね

一ノ瀬 彩音

第1話 これは要りませんよね

1.これは要りませんよね


私にはお付き合いしている人がいるというか、

恋人がいるというか、婚約をお約束している人がいます。


しかし、相手の男性は御曹司なので普段は会えないのも事実で

基本的には週末しか会えません。


私にとっては毎日会って欲しいと言っても公務で忙しいからと

断れてしまうのです。


そんなある日、相手の男性からある言葉を聞くのです。


婚約破棄したいという言葉を聞いているけれど、本当かどうかも

わからないので私は確認する必要がございます。


そこで私は相手の男性を私のお家まで来るように言いますと、

男性は行くから待っててくれと言ってくるので私は静かに

待つ事に致します。


私のお名前は朝倉明美アサクラアケミで年齢30歳。

朝倉家のご令嬢です。


お相手の男性のお名前は金城和真カネシロカズマで年齢30歳。

私と同い年で金城家の御曹司でございます。


しばらくすると私のお部屋に和真が来たので真相を確かめようとしているのです。


「和真、婚約破棄したいというのは本気なの?」


「ああっ、婚約破棄したいって言うのは本気だな」


「どうしても婚約破棄したいという事でいいのよね?」


「ああっ、構わない」


「それではこれは要りませんよね」


「あっ、それはまずい、欲しいぞ」


私が要りませんよねと言った物とは私が今までに穿いた事があるパンツです。


和真が以前から私のパンツを欲しいというのであげようとしていたのですが、

婚約破棄するのならあげる必要もないですよね。


「婚約破棄するんだし、不要じゃないの」


「いやいやっ、必要だ」


「なら婚約破棄しないの?」


「それは…………婚約破棄したい…………」


「それではこのパンツは要らないということでいいのね?」


「それでいいさ、婚約破棄するんだしな」


「せっかく和真のためにご用意していたのに勿体ない」


「別に気にしてないし、もうどうでもいいからな」


「そうなのね」


和真は婚約破棄するそうなので私が今まで穿いてきたパンツには

もう興味もないし、要らないそうです。


私からすれば、お気に入りのパンツなのであげる必要がないという事は

ラッキーというか、渡さなくて済むというか、心底嬉しいだけです。


私のパンツをもらう事が出来ない和真は残念な形になっている。


「和真はこれからどうするの?」


「そんな事を明美にお話しても意味ないだろ」


「それもそうね」


「今まで本当にありがとうな」


「いえいえっ、こちらこそ、本当にありがとうございます」


和真は私のお部屋から出て行くと、私は一人ぼっちになるという事ですけど、

それでも私は悔いはないし、何にも悲しむ必要がないです。


これからは平穏に暮らしていけるので本当に安心しています。


私が穿いていたパンツをあげる必要もなかったし、パンツを守れる事が

出来たのでいいかなって感じています。


婚約破棄してくれた和真にはある意味では感謝しているのです。


こういう場合はスッキリしたという感じでしょうね。


婚約破棄されるとショックを受けるかなって思ってたけど、

そこまで精神ダメージを受けてないし、正直最高の気分です。


婚約破棄ってされると最高ね!!


その後、私は幸せに暮らしているのでした。

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婚約破棄するというのなら、これは要りませんね 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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